禁断の果実を貪る者

□音沙汰もなく崩れる幻想
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「神楽お前は綺麗だな」

そう言うと頬に手を添えて優しく撫でるリヴァイ。

神楽は軽くお礼を言う。

「特にその"中身"が綺麗だよな…」






リヴァイと付き合いだして3ヶ月立った時から少しずつ様子がおかしくなっていた。

彼は、はっきり言うと調教系。
自分好みに調教するのだ。

前には

ジョキリジョキリジョキリ…

部屋で眠っていた神楽は何かを切る音で目を覚めた。

「ん…あ…れ…?髪…が」

切られてる…!
嘘…なんで?

彼女は腰まで流れる綺麗なブロンドの髪をそれは大事にしていた。
母親譲りの美しい毛並みと髪質。
それを、褒める人は沢山いた。

朝、起きてから再び見ると不揃いに切られた髪を、そっと触る。

「誰が…こんな酷い事を…」
「俺がお前の髪を切った。」

バッと振り向けば、リヴァイがドアに寄りかかり話しかけた。

「リヴァイ…さん…が…?
どう…してですか…?」
「てめー…昨日エルヴィンに触られてたろ」

確かに昨日はエルヴィン団長に髪を褒められた。それはとても嬉しかった。その時、少し触らせた。

「他の奴らに触らせてんじゃねー
不愉快なんだよ。」

近づいてくるリヴァイ。

「酷い…酷いです!だからってこんな」

ザシュッ!
ポタポタ…

話の途中、何かが切れて首筋に流れ落ちた。

「え…?」
首を抑えると血が流れていた。
いきなり切られた事にびっくりした神楽は床に座り込んでしまった。

「あ…」
「…。」

リヴァイは無言で部屋を出て行ってしまった。

それが、彼女の中にあった"人類最強で憧れの兵長"が崩れていった瞬間だった。

切られた髪を綺麗に切り直し、
傷は深くなく大事に至らなかった。処置をして訓練に赴く。

同期達からは、どうしたの?。髪切ったんだね!。その傷は何と質問攻めされた。
しかし、
まだまだこんなものでは止まらなかった。
様々な言いがかりをつけては
蹴っては殴る。そして身体の一部を切って血を流させた。

こんな事を毎回毎回やっていては、貧血になる。
医務室に行こうとした時、

「神楽…」

ビクッ!
反射的に反応してしまった。しかし、そこにいたのはエルヴィンとミケとハンジであった。

「神楽ちゃん?話があるからいいかな?」

彼女は首を横に降り声を出さなかった。
それもそのはず、神楽はリヴァイに話しかけられても、話すな。話したら声帯を削ぐと言われ上司達にも話せなかった。

しかし、ハンジは手紙を見せた。

〈リヴァイの事で話したい。大丈夫。ついて来て〉

そう書かれた紙をみて、コクリと頷いた。

ミケが鼻をスンスンと鳴らしリヴァイが近くにいないか確かめながら、地下室におり、隠し扉を開いた。

入ってと言われ入ると中々広い部屋に行きついた。

「さて、ここならリヴァイも知らないから安心して話せるね。率直に聞くけど神楽ちゃんの怪我の原因は、リヴァイなんだよね?」

「…はい…付き合い始めてから3ヶ月くらいから…」

「リヴァイは異常すぎるくらいに君を愛している。その歪んだ愛情が君に降りかかっている。」
「はっきり言うと、このままでは兵士として、人として、生きいけなくなる。殺されてしまうよ!」

「…。」

スンスン…
「リヴァイが近くにいる。」
「…!お早いご到着だな…神楽はここで隠れてて!私達がなんとかするからさ。」
「…はぃ。」

そう言って三人は出て行った。

しばらくすると、エルヴィンが顔をだした。
「神楽、当分君はここにいなさい。必要なモノはハンジとミケに届けさせる。」

そう言ってから、一週間がたった。貧血を回復する薬を飲んでベッドにはいる。
ここは、昔隠し部屋として使われていたようで、それなりに家具などが置いてあった。

今日は誰が来るんだろ…ミケさん?ハンジさん?…皆に会いたいよ…

そう思いながら、眠りについた。
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