禁断の果実を貪る者
□音沙汰もなく崩れる幻想U
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「うぁぁあっ‼︎…はっ、はぁはぁ…」
またあの夢…
リヴァイ兵長から受ける酷い仕打ち。そして、あまりにものグロテスクな光景。
なぜ、そんな夢を見るのか私には知る由もないのだから。
夢の中では私と兵長は恋人同士だったようだ。
私はベットから降り兵団の紋章が入ったジャケットを羽織って部屋を出た。
「おはよー神楽。」
「おはよーエレン。」
私とエレンは恋人同士だ。
訓練兵時代に恋に落ちて、エレンから告白された。そして、同じ調査兵団ではなく、駐屯兵団に入ったのだ。
あんなに調査兵団に入りたいと言っていたエレンが私の為に駐屯兵団に入ってくれたのだ。
「あぁーまーた、ピクシス司令に扱き使われるんだろうなぁ。」
「ごめんね…私の為に駐屯兵団に入ってくれて…」
「神楽の為だよ。その夢が現実にならなきゃ今すぐにでも調査兵団に異動願いを出してやる!」
ニシシと無邪気な笑顔で笑いかけてくれるエレン。
私だって調査兵団に入りたかった。
でも、夢が怖くて…
私は正夢を見るのだ。見る夢一つづつ必ず正夢になるのだ。
それを経験している私は、駐屯兵団に入団したのだ。
そうすれば、リヴァイ兵長に会わずに済むもの…
エレンはその事を知って一緒にいてくれる。本当にありがたい。
そして、
私とエレンが調査兵団にいる夢を見て怖くなった。
エレンは喜ぶかも知れないが…
私は今の生活がいいの…。このまま、この幸せが続けばいいのに…
しかし、この幸せはすぐに打ち砕かれた。