おはなし2
□泣きながら微笑んで*リク
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行き交う人々を横目に、うるさく鳴る鼓動を落ち着かせようと何度も深呼吸を繰り返していると、指原ー! と優子ちゃんが駆け出してきた。
まるで仔犬のようで……。可愛くて抱き締めたくなるのをグッとこらえる。
優子ちゃんは先輩でメンバー。たったそれだけの関係だったんだ。
デートができるだけありがたいくらいで……。
でももうこうして一緒に歩くこともなくなるのかと思うと寂しく、切なく思う。
メンバー、という条件があったから指原は優子ちゃんのとなりにいられたんだ。メンバーでなくなった時点で、きっと縁がなくなるんだろう。
「切ないなぁ……」
つい口に出してしまえば、優子ちゃんは首をかしげてこちらを見る。
うぅ……。激きゃわ。
「そうだ、指原! お昼なにたべたい? 」
「んー、優子ちゃんの好きなものでいいですよ? 」
無難にそう返せば優子ちゃんは唇を尖らせた。
そんな彼女が愛しくて仕方がない。
「じゃぁ……ハンバーグとか? 」
「お! いいねえっ! いこう! 」
そういって自然に手を握ってきて、胸が締め付けられる。
優子ちゃんが指原の名前を呼ぶ度に、
優子ちゃんが指原に微笑みかける度に、
指原は、泣き出してしまいそうになるんだ。