おはなし2
□泣きながら微笑んで*リク
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お昼を食べて、服を見に行って、カラオケにいって、パフェを食べて、楽しい時間はいつでもあっという間だ。
繋いだ手の力が自然と強くなって、優子ちゃんが繋がれた手と指原を交互に見て寂しそうに笑った。
そんな顔、させたくはなかったのに。
「あ、あの! 今度はどこいきますか? 」
「指原を連れていきたい場所があるの」
ぎこちない笑顔を浮かべる優子ちゃんに手を引かれる。
すっかり日も落ちた暗がりのなか、電灯の明かりに照らされていた桜の木は……なんだか優子ちゃんみたいな気がした。
「連れていきたい場所って? ここ、ですか? 」
「そ! 」
するりと優子ちゃんの手が離れていく。
「指原! 」
まだ温もりの残る手を見つめていると優子ちゃんが無邪気な笑顔を浮かべて手招きしていた。
込み上げてくる感情を抑えて一歩一歩優子ちゃんに近づく。
手を引かれて、抱き締められて、頭が真っ白になる。
「ゆ、こちゃ……」
ごめんなさい、優子ちゃん。
もう限界です。
久しぶりに声をあげて泣きじゃくった。
いつもなら怒ってくれる優子ちゃんも、なにも言わずに頭をなでてくれる。