聖剣伝説LOM
□泥棒とお姫様@
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リチアは友人であるティーポと過ごすため、武器屋「ジェマの騎士」の裏側であるマークの部屋にお邪魔していた。
ソファに腰掛け、以前マークからもらった図鑑を読んでいると、ティーポが言う。
「あ〜大きなダイアモンド、欲しいわ〜」
自称宝石コレクターの彼女らしいと言えば、らしすぎる台詞。
だが、彼女のそんな面は長所とは言えない。そのことを知っているリチアは、呆れたような目でティーポを見る。
「そんなことばっかり言ってるから、ニキータにカモにされるんだよ…」
「なんや!その目は!美しく着飾るのは、女のつとめやで!!」
力説するも「はいはい」と言いたげな態度のリチアに、ティーポは更に口調を強めた。
「つ と め!!!」
あーもうわかったから!と半ば話題を振ってしまったことを後悔しながら、リチアが言う。
そんな彼女の様子に満足したのか、ティーポの頭の中は再び大きなダイヤモンドのことでいっぱいになった。
「ニキータはんは手ェ出えへんモンもよう紹介されるさかい、宝石なら…今度アレックスはんに相談してみよか」
ティーポの口から出た意外な名前にリチアは思わず、読んでいた本をバンッ!と音が立つ程の勢いで閉じる。
「今…なんて?」
「へ?今度相談してみよか?」
「誰に?」
「あ…アレックスはん?」
「…!」
ただならぬリチアの反応に、ティーポは問う。
「なんやの、知り合い?」
「ティーポ、私もその人に会いたい。どこにいるの?」
その真に迫った表情に、ティーポは閃く。
「なんやリチアはんもやっと少しは着飾る気になったんかいな。
元がええねんから、そんなヘンな棒刺しとらんと花とか、アクセサリーつければええねん。
つれてったるさかい。一緒に行かんか」
ははーんと唸った後、勘違いをしたティーポはリチアに反論の隙を与えずに、一気にまくし立てた。
「え」
見当違いのことを言われ、一瞬呆けたリチアだったが直ぐに我に返る。
「一人で行きたいんだけど…場所だけ教えてくれない?」
ダラダラと冷や汗をかきながらお願いするも、ティーポの耳には届いていなかった。