二次創作
□勉強会
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「ぐぁ…わけわからん…」
呻き声をあげながら日向がシャーペンを置く。
圧倒的に白が占めている数学のプリント。
名前の欄だけが存在を主張している。
男子バレー部一年4名がいる部室は、日向を中心に黒いオーラに包まれていた。
今は期末のテスト期間。
『赤点一つでもあったら部活に参加させないからな』と、大地に黒い笑顔で言われた先週の金曜日。
文武両道を掲げる烏野高校の理念に沿って、とのことだったが、その言葉に部員全員が凍り付いた。
田中に至ってはまさに、真っ青という言葉がぴったりである。
「一つも…」とうわ言のように呟く田中に、大地は肩に優しく手を置くと、
『頑張れよ』
と微笑んだのだった。
「なぁ影山ぁ…この問題どうやって解くの…」
暑さにも少しやられながら、日向は解の公式を用いる問題を指差す。
影山は日向を一瞥して、大袈裟に溜め息を吐くと、
「隣の眼鏡に聞いた方が早い」
と、悔しげに月島の方に顎を向けた。
「ちょっと、頼む態度じゃないでしょそれは」
そうは言いつつも月島は楽しそうに目を細めている。
山口は自分のことのように「そうだそうだ!」とニヤニヤしている。
その山口本人もプリントは進んでいない。
日向は月島に向かって頼む!と手を合わせているのだが、
「えぇ〜どうしよっかな〜」
月島に教えるつもりはなさそうだ。
影山は因数分解とにらめっこをしているが、授業中眠っていたつけが今回ってきていた。
( さっぱりわからん… )
他の問題をやろうとしても、イコールだけ書いて先に進めない。
勉強会を開始して15分、早くも諦めモードが漂い始めていた。( 月島除く )