二次創作
□親離れ
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最近山口が話しかけてこない。
部活の後も「用事があるから」と一人で帰ってしまう。
ツッキーツッキーうるさかったのに、急に周りが静かになって何というか…。
( 寂しい? )
そこまで考えて月島は首を横に振る。
−いやいや、落ち着きがあることは良いことだ。
腑に落ちていない、ざわざわした心を置き去りに、月島は部活に向かった。
「「あざっした!!!」」
熱気が籠る体育館。
烏養と武田を囲んでミーティングが始まった。
が、月島は未だに山口のことが頭から離れず、どこか集中出来ずにいた。
考えまいとしていても、無意識に浮かんでしまうものだからどうしようもない。
烏養がそんな月島を見て溜め息を吐く。
月島は視線に気付き、バツ悪そうにそっぽを向いた。
自分が悪いのはわかっている、その気持ちの表れでもあった。
「ツッキー!」
体育館から出てすぐ、山口に呼ばれる。
久々に聞いたな、なんて思いながら、
「山口うるさい」
いつも通りに返してみる。
すると山口はへにゃんとした柔らかい笑顔で笑った。
「今日も先、帰ってて」
−ねぇ、何で笑ってんの。
「…あっそ」
くるりと踵を返す。
きっと山口は不思議な顔してるだろうけど、そんなもの知ったこっちゃない。
もう知らない。
あんな奴知らない。
早足で家に向かう。
ヘッドフォンを耳に当てて、でも今はバラードな気分じゃない。
ロックでもパンクでも、駄目だ何もかも違う。
何なんだよくそ。
思わず舌打ちをした。
山口ごときに振り回されるなんて癪だ。
あいつはへらへらしてるのに俺だけ悩んでるみたいジャン。
「…くそ山口」
悪態をつきながら空を見る。
気分に合わない満月で、月島は更に腹を立てた。