二次創作

□天体観測
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「おま…こんな夜遅くまで何してんだ」

口をパクパクさせながらギルバートは言う。
器用だなお前。

「今日は眠れなくてさ」

ついさっき浮かんだ言い訳を苦し紛れに口にする。
ギルバートは大きな溜め息を吐いて、「お前は本当に危なっかしいんだから…」と説教を始める。つくづく良い母親になりそうだと思った。

「まあそう言う俺も眠れなかった」

邸の前にある大きな気に寄り掛かりながら、彼は胸ポケットから煙草を出す。

「何で?」

「…今日みたいな日はもう二度と来ない気がして…終わって欲しくなかったんだ」

一人言の様にギルは呟く。
自嘲的とも感傷的とも言える大人びた顔で、まるで数年前の事を語っているかの様に遠くを見ている。
( お前はいつから )
そんな顔をする様になったんだ。

俺の視線に気付いたギルは

「自分でも女々しいなとは思ってるんだぞ?」

と力なく笑って、煙草をくわえた。

何となく。
形容しがたい何かが未来に対する不安を運んでくる。
今日みたいなとても幸せな時がくると、更にそれが増したりする。
きっとギルも同じ気持ちなんだろうなと思った。
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