第一図書室
□風邪引き
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アジトには今、僕しかいない。
キド達はみんな買い物へ行ってしまったし、シンタロー君は最近アジトへ来ていない。
「うー…寂しいなー…」
そういってソファにぼふっと座る。
何かないかなぁ。
そう思っていると、携帯が鳴り出した。
「ん…。」
メールだ。シンタロー君の携帯から…?あ。
僕は思わずにまっとして、アジトからシンタロー君の家へ向かった。
ピンポーン、とチャイムを鳴らす。
暫くしてから、「はーい」とシンタロー君が出てきた。
「シンタロー君!遊びに来たよ!!」
僕が友達とゲームをしに来たようなノリで言うと、少しだけシンタロー君の顔が赤くなった…気がする。
「え、えぇ?な、なんで…?」
「はぇ?いや、なんでって寂しかったから来たんだよ?」
そういうと、また少し恥ずかしそうに苦笑した。
「そ…そうか。まぁ、入れよ」
あれ?なんか今日デレが多い…
いつもならこうやって来ると即「帰れバカノ」と閉め出されてしまうんだけど…。まぁ、いっか!
シンタロー君の部屋へ行くと、パソコンの液晶画面が青く光っていた。
『おぉ、吊り目さん!待ってましたよ!!』
「エネちゃん!メールありがとうね!!」
僕が嬉々としてエネちゃんにお礼を言うと、シンタロー君はいぶかしげにこちらを見た。
「…へ?メール?」
『いやぁ、最近ご主人元気ないからあいじんの吊り目さんを呼んだんですよ!それなら少しでも元気が出るだろーと思いまして!!』
「実際僕も寂しかったしね!会いたくて会いたくて死にそうだったんだよ!?」
そういうと、「っそ」と言ってそっぽを向いてしまった。
んん?なんかおかしいな…
シンタロー君は、エネちゃん曰く「カゼ引くとおかしくなるんですよ〜」らしいから、風邪なのかも…?
「シンタロー君、おでこおでこ」
僕が熱を確かめる為に手を伸ばす。
「ん。」
「わ、シンタロー君燃える様に熱いよ!風邪引いたんじゃない?」
するとエネちゃんが、『んー、確かにご主人この頃徹夜してますもんね。何で徹夜してるのかは敢えて言いませんけど、そのせいで元気なかったんじゃないですか?おまけに風邪まで引いちゃってもうアホですねご主人ったら!』
「う、うるせぇ!」
シンタロー君がちょっと涙目で応える。可愛いけど流石にこのままだとあれだよなー。
「シンタロー君、休んだ方がいいよ?」
「ん…。」
僕が促すと、素直にベッドに入って布団をかぶった。
「んじゃ、僕が看病してあげるね!」
「え?お前できんの…?」
シンタロー君が布団の隙間から怪訝そうに訪ねる。
「失礼な!愛するシンタロー君の為なら僕なんだってでき「はいはい」うー!」
能力を使って涙目になってみるけど、
シンタロー君はぷいっとそっぽを向いてしまった。
「まぁまぁ。なんか食べたいものある?」
「んー。…はるさめ」
「はるさめ!?」
「冗談だ。ゼリー食いたい」
「あはは、りょうかい!買ってくるからじっとしてるんだよ?」
僕がニコっと笑ってからそう言うと、シンタロー君はなぜかちょっと布団を深くかぶって「…わかってるし」と呟いた。