第一図書室
□寒いから
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「…なんか寒くなってきたな」
そう呟いて携帯を覗く。
『あ、確かに最近急に寒くなってるみたいですね〜。この前までは残暑でキツかったのにびっくりですね!』
「あぁ、確かにな」
数週間前までは残暑で死にそうになっていたというのに、気温の変化が激しすぎる。オレはハムスター並に弱いのだ、もう少し丁寧に扱ってくれてもいいではないだろうか。
「…アジト、行ってくる」
『え?あ、あぁ…いってらっしゃいませ!!』
オレの考えがわかったのか、ニマニマと笑いながらエネが見送る。
「しんたろーくんっ!!!」
アジトへ着くなり、カノがだぎゅっと抱きついてきた。
「へ…?ってカノ!?お、おま…離れろ!」
「や!」
即否定された。
「や、ってお前なぁ…」
呆れながらカノに言うと、いつの間にか担がれていた。
「…ってうぉわ?!」
下ろせとじたばたするも、すぐにカノの部屋へ着いてしまった。
ベッドの上に下ろされ、カノも隣に座る。すると体にふわりと何かが覆い被さった。
「これで寒くないでしょ!」
掛けられたのは布団だったようだ。
「あぁ…そうだな」
そういってくすっと笑うと、カノも布団に入ってくる。
「ふあぁ…僕眠いんだよね。…おやすみ、シンタロー君」
そう言って十秒と経たない内にカノは寝入ってしまった。
…ちょっと、寒い。
そう思って今度は逆にカノを抱きしめ、自分も深い眠りに落ちていくのだった。