第一図書室

□にやにや
1ページ/1ページ


「なぁ、カノ」

テーブルの上で苺をムシャムシャと食べていると、後ろから声が掛かった。

「なぁに?」

「オレにもイチゴくれよ」

シンタロー君はそう言うと、隣の椅子に腰掛けた。

「ん。いいよ、はい」

イチゴの乗った皿をシンタロー君の方に寄せる。

シンタロー君はそれを見て暫し考え込み、イチゴをひとつ摘まんだ。

「はいあーん」

シンタロー君が無表情にイチゴを僕の顔に持ってくる。…ぇ、食べろと?

「食べないの?」

シンタロー君が相変わらず無表情に言う。

「え…た、たべる!ありがと!」

なんかめちゃくちゃ恥ずかしかった。男子に「あーん」なんてするもんなのシンタロー君!?

イチゴをぱくんとかじると、何故かシンタロー君もかじりついた。

「んむ!?」

吹くかと思った。シンタロー君は無表情にもぐもぐと食べて、最後に僕にキスをした。

「!!!?!??」

顔が真っ赤になったと思う。シンタロー君はまだ口の中にイチゴが残っているのか、もぐもぐと口を動かしている。

「これはオレが思い付いた新しいゲームだ」

イチゴを飲み込むと、シンタロー君はドヤ顔でそう言った。

「つってもポッキーゲームのイチゴ版なんだが。驚かしたのなら悪い」

「いや、お、驚いたけど…どうして僕でやったのさ?」

僕がわたわたしながら聞くと、シンタロー君はにこっと笑った。

「カノが好きだから」

それを聞いて、今度は顔から火が出るかと思った。

「な…ぇ!?」

「あ…オレじゃ嫌だったか?それなら謝る。ごめん…」

シンタロー君はそう言うと、僕に背を向けた。

「え…いや、違うよ!シンタロー君、その…僕も、し、シンタロー君のこと…!!」

そこまで言ったところで、玄関のドアが開いた音がした。

え…誰か帰ってきた…?でも…

…こんな中途半端、いやだ。

僕はそう思ってシンタロー君の手を取り、自分の部屋へ駆け込んだ。




「カノ?」

不思議そうに僕を見つめるシンタロー君と向き合い、言う為に呼吸を整える。

「あの…あのね。…僕、シンタロー君のこと…が。…大っ好きだよ!」

言えた。

すごく単調で飾り気がないけど…それでも伝わるといいな。

そう思ってシンタロー君を見ると、シンタロー君はうつむいていた。肩が少し震えてる…気がする。

「え?シンタロー君どうし…」

僕が心配になってシンタロー君を介抱すると、今度は逆に抱き締められ、キスをされた。

「…オレもだ」

シンタロー君はそう言うと、嬉しそうに笑った。

「あんまオレを嬉しがらせるなよ」

「えー、いいじゃん。シンタロー君大好き!」

「…後悔しても知らないから」

シンタロー君は少し照れながらそう言うと、僕をベッドに押し倒した。

…ん?まさか?

僕がこの先を予想して冷や汗をかくと、シンタロー君がニヤリと笑ったのが目の端で確認できた。

「カノ、大好きだ」





このあとカノさんがどうなったかはご想像にお任せします。
どう転んでもアッー!!な方なんですけどね!あざました!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ