第一図書室
□にやにや
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「なぁ、カノ」
テーブルの上で苺をムシャムシャと食べていると、後ろから声が掛かった。
「なぁに?」
「オレにもイチゴくれよ」
シンタロー君はそう言うと、隣の椅子に腰掛けた。
「ん。いいよ、はい」
イチゴの乗った皿をシンタロー君の方に寄せる。
シンタロー君はそれを見て暫し考え込み、イチゴをひとつ摘まんだ。
「はいあーん」
シンタロー君が無表情にイチゴを僕の顔に持ってくる。…ぇ、食べろと?
「食べないの?」
シンタロー君が相変わらず無表情に言う。
「え…た、たべる!ありがと!」
なんかめちゃくちゃ恥ずかしかった。男子に「あーん」なんてするもんなのシンタロー君!?
イチゴをぱくんとかじると、何故かシンタロー君もかじりついた。
「んむ!?」
吹くかと思った。シンタロー君は無表情にもぐもぐと食べて、最後に僕にキスをした。
「!!!?!??」
顔が真っ赤になったと思う。シンタロー君はまだ口の中にイチゴが残っているのか、もぐもぐと口を動かしている。
「これはオレが思い付いた新しいゲームだ」
イチゴを飲み込むと、シンタロー君はドヤ顔でそう言った。
「つってもポッキーゲームのイチゴ版なんだが。驚かしたのなら悪い」
「いや、お、驚いたけど…どうして僕でやったのさ?」
僕がわたわたしながら聞くと、シンタロー君はにこっと笑った。
「カノが好きだから」
それを聞いて、今度は顔から火が出るかと思った。
「な…ぇ!?」
「あ…オレじゃ嫌だったか?それなら謝る。ごめん…」
シンタロー君はそう言うと、僕に背を向けた。
「え…いや、違うよ!シンタロー君、その…僕も、し、シンタロー君のこと…!!」
そこまで言ったところで、玄関のドアが開いた音がした。
え…誰か帰ってきた…?でも…
…こんな中途半端、いやだ。
僕はそう思ってシンタロー君の手を取り、自分の部屋へ駆け込んだ。
「カノ?」
不思議そうに僕を見つめるシンタロー君と向き合い、言う為に呼吸を整える。
「あの…あのね。…僕、シンタロー君のこと…が。…大っ好きだよ!」
言えた。
すごく単調で飾り気がないけど…それでも伝わるといいな。
そう思ってシンタロー君を見ると、シンタロー君はうつむいていた。肩が少し震えてる…気がする。
「え?シンタロー君どうし…」
僕が心配になってシンタロー君を介抱すると、今度は逆に抱き締められ、キスをされた。
「…オレもだ」
シンタロー君はそう言うと、嬉しそうに笑った。
「あんまオレを嬉しがらせるなよ」
「えー、いいじゃん。シンタロー君大好き!」
「…後悔しても知らないから」
シンタロー君は少し照れながらそう言うと、僕をベッドに押し倒した。
…ん?まさか?
僕がこの先を予想して冷や汗をかくと、シンタロー君がニヤリと笑ったのが目の端で確認できた。
「カノ、大好きだ」
☆
このあとカノさんがどうなったかはご想像にお任せします。
どう転んでもアッー!!な方なんですけどね!あざました!