短編
□雨の日の忘れ物
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朝。
屋根を叩きつけるような雨の音で目が覚めた。
少し肌寒さを感じながら、グレイは静かにベッドから降りる。
少し気だるく思いながらも、服を着替える。
今日は日曜日。せっかくの休日だというのに、
この雨じゃ、なんのやる気もなくなってしまう
このまま家にいるのも悪くないが、
なんだか今日は、誰かと話をしたい気分だったのだ。
重たい体を持ち上げ、グレイはコートに腕を通す。
外は、暗く重たい雨雲一色。
ドアを開ければ、打ち付ける雨の音が一面に広がる。
グレイは、玄関のそばに立てかけてあったビニール傘を取り、
扉を開け、雨の世界へと入っていった。