いろいろつめあわせ

□魔法のコイン
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拾ったのは魔法のコインだった。 あまりにも綺麗だったので尋ねてみると、一 回だけ望みを叶えてくれるという幻のコインらしい。アメリカの都市伝説的なものだと、 夕食と入浴が終わってみんなが暇になったときにジェシカが教えてくれた。

「ねぇ、どこで拾ったの?」

「どこって言われても…」

わかんないよ、とランの問いにユウヤは首を振った。

「帰り道のどこかだったかな」

助けを求めるようにジンに視線を送る。

「あぁ。駅からここまでの道のどこかだろう」

彼も肯定するように頷いた。

「ところでユウヤさん。何をお願いするんで すか?」

「ヒロくんだったら何にする?」

「僕ですか?」

「うん」

「僕だったらセンシマンみたいなヒーローになれますようにってお願いします!」

「ヒロったらそればっかりね」

ジェシカが笑った。

「じゃあ、ジェシカさんだったら、何をお願いするんですか?」

ヒロが少しむくれながら聞く。

「そうね……私だったら、ディテクターとの戦いが早く終わりますようにって言うわ」

「平和的ですね〜」

「ランはどうなの?」

「あ、あたし?」

「えぇ、そうよ」

「あたしだったら、願い事を叶えられる数を増やしてくださいって、最初にお願いする!」

「ランくん、それ反則じゃないかい?」

「反則じゃないって!」

「ラン、あなたらしいわ」

ジェシカが苦笑する。

「バンはなんてお願いするの?」

「俺?」

「うん」

ランの問いにみんなの視線がバンに集まった。

「俺だったら、もっと強くなれますように、 かな」

「バンらしいというか、なんというか」

ランが笑う。

「なんだよ。ジンは願い事とかあるのか?」

ヒロと同じように少しむくれてから、ジンに話を振った。

「特にない」

あっさり
と答えを返す。ホントに?というランをスルーし

「ユウヤ、結局どうするんだ?」

話を戻した。

「うん。決まったよ」

「なになに?」

ランが知りたそうに身を乗り出した。

「秘密」

「コインを握って、お願いするのよ」

ジェシカが言う。ユウヤは頷いた。コインをしっかりと握って、心の中で呟く。

『みんなの願い事が早く叶いますように』

ーENDー

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