short novel
□最後の約束
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果たされない約束は海に浮かぶ泡のように、消えてなくなって。
ここにはアナタとの思い出だけがゆっくりと漂うだけ…。
「ねぇ、リヴァイ、なんか願い事とかないの?」
「あ?そんなこと聞いてどうすんだよ」
不機嫌そうに眉間にしわをよせてコーヒーを飲む手を止めて視線を合わせた。
「知ってた?今日流星が見えるんだよ!
次見えるのは7年後なんだって!」
目を輝かせて部屋の窓から外を見上げる。
仕事が終わり、夕食をとったあとコイツはいつも俺の部屋にくる。
他愛ない話をして、時には隣で眠ることもある。
同じ調査兵団の部下に手を出すなんて思っても見なかったが、コイツが側にいるのが当たり前になっているのが自分でも怖い程だった。
「知るわけねぇだろ、らしくねぇこと言ってないで、早く寝ろ」
「も〜…冷たいなぁ〜。
7年…なんて、次は見れるかわかんないじゃない、私たち。」
…明日死ぬかもしれないし…
「叶わない願い事や守れない約束なんざしない方がいいだろ」
「…私は約束するよ?」
「何がだ。」
「リヴァイを守るって。」
「馬鹿言ってんじゃねぇーよ。守られんのはテメエの方だ。」
「ふふっそうでした。」
いつ居なくなるかわからない私たちはきっと約束なんて意味がなくて、残酷なことなんだろうけど、それでも、願わくば7年後もアナタの隣に…。
「ねぇ、リヴァイ」
もしも、私が死んだら私のことは忘れてね。
「はぁ?何言ってやがる」
「リヴァイはさ、背負いすぎなんだよ、全部自分で、抱え込んで、今までだって…」
「それ以上言ったら削ぐぞ。」
持っていたコーヒーをテーブルに置いて近づいてきたリヴァイに腕を引かれベッドへと投げ出された
「余計なこと考えてる余裕があるなら、ちゃんと俺のところへ帰ってこい。自分の足でな。」
ちゃんと生きて帰ってきて…。
そんなことすら、願わなきゃいけないこの世界は残酷で、
きっとまた無事に明日が来ることを誰もが祈ってる。
壁外調査に出る前夜はいつもこうしてリヴァイの腕の中にいる。
お互いの体温が、生きている証。
明日はもう触れられないかもしれないぬくもりに酔いながら眠りについた。
「…おやすみ、リヴァイまた明日ね」
「あぁ…」
また…明日。小さな約束が増えていく毎日。アナタは優しいから、きっと守ろうとしてくれる。