short novel

□Heartplace
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「ーいかないで……。」







まだ薄暗い部屋名前を呼ばれて目を開ける
夢を見ていたみたいだ
壁外調査の前日…決まって同じ夢を見る



貴方がここに居ない夢。






「…大丈夫か?」


私の目に映ったのはいつも傍にいる愛しい人の顔。

「うん…大丈夫、ちょっと夢見てたみたい…。」

随分と魘されていたようで、どうやらリヴァイに起こされたようだ。

「そんなところで寝てるからおかしな夢見んだよ」




そうか…リヴァイの部屋で本を読んでいたんだっけ
そのうちにソファで寝てしまった私。

リヴァイはまだ仕事中だったのか、机の上に書類の山が積まれていた

「ごめん。仕事の邪魔しちゃって」

「もう終わったからいい。ほら…。」


そう言って私の腕をひく

ベッドに入るように促されて大人しく隣に行くと頭を抱えられて、抱き寄せられた。

リヴァイの体温が感じられる大好きな腕の中。
一番落ち着く場所



「眠るまで こうしててやるからもう寝ろ、明日も早い…。」

「うん…。」

「ちゃんとここにいるだろうが」

「…うん。」


夢…口に出してたのか…。
リヴァイはいつもこうやって私を慰めてくれる
ずっとこうしていられるなんて思わないけど、こうしてまた1日の終わりに隣にいられると
また次の日もこの手を離したくなくなってしまう。


もう二人に明日がこないことも、いなくなればこの小さなため息さえも届かないこともわかっているのに。


こうしてお互いに温もりを求める私たち。


明日外へ一歩踏み出せば人間なんてちっぽけでなんて弱い生き物なんだと思い知らされる


「幸せだなぁ…。」


「ウソつくな、馬鹿」


「本当だよ」




ホントは明日が来るのが怖くて堪らない癖に

震える身体を強く抱きしめられたら一筋涙が零れた

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