short novel
□最後の約束
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「海…見てみたいな…」
壁外調査に向かう前そんなことを口にしたアイツの手を引いてここにきた。
「…リヴァイ〜。ここ川だよ(笑)」
「んなこと知ってんだよ。いいから黙って見てろ」
リヴァイにつれて来られたのは王都に程近い場所。
きっとこの辺りはリヴァイが昔住んでいたあたりなんだろう。
やけに裏道に詳しかったから…
海がみたいだなんて、そんなこと無理に決まってる。古い書物に書かれた夢物語かもしれないし、そんな場所本当にあるかだってわからないけど。
「きっと広くてきれいなんだろうなぁ〜…」
そんな独り言みたいな呟きを彼は聞いていてくれたみたいだ。
眠い目を擦ってリヴァイの馬に乗せられ、ここまでやってきた
「うわぁ〜…きれい…」
朝日が昇って反射した水面がキラキラ光って、辺りを照らしていた。
「リヴァイって以外とロマンチストなのね?」
「朝方ヨダレ垂らして寝てるやつはこんな朝日も見たことねぇんだろうと思ってな。」
「えぇ!ヨダレなんか垂らしてません!!」
「アホ面してんのは確かだろうが。」
「う…〜ひどい!!前言撤回、全然ロマンチストじゃない!(笑)」
二人でここにきたあのときは全て忘れられるような気持ちになってた。
この小さな世界のことも、明日いなくなるかも知れない恐怖とか。
このまま時が止まればいいのに、なんてベタなこと考えたりして、
柄にもなく、こんなことしてくれたリヴァイをこんなにも好きな自分にも困ったけど。
でも…また連れてきてよなんて、言えなかった。
約束を増やすのは辛くなるだけだから。
「…ありがと。」
「…俺が巨人を全て滅ぼしたら海とかいうやつも見に行ってやってもいい。」
「うん、楽しみにしてる。」
未来の話を口にするなんて珍しかったけど、リヴァイがみる遠い未来に、私がいてくれたことが嬉しかった。