相手自由夢@
□Become crazy!
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久し振りのデートにドキドキ。
「彼氏」「彼女」という関係になってまだ間もないあたし達は、出会った時から異質だった。
お互いに一目惚れだった。
あたし自身そんな現象はあり得ないと思っていたし、自分がそんな風に見初めてもらえることなどあり得ないと思っていた。
だけど、確実に、それはあった。
どこかの芸能人じゃないけど、頭のてっぺんから爪先にかけて電流が流れるという感覚は本当にあるものだ。
メールは毎日、どちらからともなく交わされる。
こんな当たり前な幸せを、随分と遠回りしてようやく見つけた。
「久し振り!」
「うん」
赤らむあたしの頬を優しく撫でて、彼がふわりと笑った。
「うん、この感触」
「へ?」
「生美優(笑)」
「生?(笑)」
「だって、一週間写メだけだったんだぜ?このぷにぷにほっぺ、触りたくて仕方なかった」
「あは。あたしもいつも和希君の写メ眺めてニヤニヤしてたよ」
「かわいーけど他から見たら怪しいな」
「ですよねー」
「まあね、俺イケメンだしね」
「自分で言うなっ」
「それなりにモテるしね」
「ムカつくー。でも否定できない」
「へへ。だろー?」
「…心配だなー」
「何が?」
「誰かに取られそうで」
「あー、それはない」
「あれ、断言しちゃったよこの人」
「だって俺、美優がいいんだもん」
「…一緒だ」
「ん?」
「一緒だ、あたしと」
「だろ?だからいーじゃん」
「うん」
不安がゼロになることはないけれど、こうして会う度にお互いの気持ちを確認出来たなら、きっとあたし達は大丈夫。
立ち寄ったジェラート屋さんで、違う味のジェラートを買って、近くのベンチに座って食べた。
「そっちのやつちょうだい」
「ん。はい」
「…んま」
「うん。美味しいね」
「なんかさ、幸せだわ。こうゆうの」
「だね」
「俺さ、ちょっと大袈裟かもだけど、お前とこうゆう時間過ごすために頑張れるわ。ありがとな」
そう言って、照れ臭そうに笑いながらジェラートを口に含む彼の頬に、冷たくなった自分の唇を思わず押し付けた。
「わ!冷たっ!」
「へへ、甘いや」
「お前さー、部屋以外であんまし可愛いことすんなよ。欲情すんだろが」
男性にしては珍しく、厚くぽってりとした美味しそうでセクシーな唇に、思わず吸い付いてしまった。
ふわりと照れ臭そうに笑う彼の指があたしの髪を梳き、再び彼のジェラートの味が唇から伝わるのを感じながら、この時間が永遠ならと願った。
《end.》