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□クローズドサークル1
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これは、あるホテルでの物語。
3人の男、3人の女。その6人が無人のホテルに集められた。
これから、何が起こるのかも知らないで。

「いたた・・・、あ、あれ?私、自分の部屋で寝てたのに・・・ここ、どこ?」
そう言って起き上がったのは俺の友達、七瀬 利香。
誰にでも優しい、どこにでもいそうな普通の女子だ。
「よぉ、七瀬。やっと起きたか。」
「あ、笠置。ここどこなの?」
「俺が知るかよ。自分の部屋で寝てて、起きたらここだぜ?明日にはニュースになってるかもな。笠置 雄一さんが誘拐されましたってさ。」
「へぇ、笠置もそんな感じか。」
七瀬・・・、最後のほうのはスルーしやがった。
でも、この歳で誘拐とかマジで笑えない。
周りを見てみると、知らない奴が何人か倒れてる。
男1人に女2人だな。合計5人か。
つか、ここは本当にどこなんだ。今いる場所はホテルのロビーっぽいけど、俺たち以外に人はいない。
「どうなってるのよ・・・、家に帰りたい。」
「帰る・・・、そういや俺たち、どうやってここに来たんだ?」
「ドアは・・・開かないよ・・・。」
「「うわぁ!?」」
「あ・・・、ごめんね。驚かしちゃったかな・・・。」
そりゃ、壁の向こうからヌッと出てきたら誰でも驚く。
・・・俺が最初に起きたと思っていた。俺は2番目だったのか。
「そ、そうか。開かないか。ありがとな、確認してくれて。」
「ううん・・・、僕がしたかったことだから・・・礼なんかいらない・・・。」
「あ、あぁ。」
男だったのか。どちらか分からなかった。
「う・・・、んん、ここどこ・・・。」
さっきの驚いた声で何人かが起きた。
まだ起きてないのは1人だけ。いびきかいて熟睡してるのがいる。
「え、何?なんなのここ。ちょっと、及川!起きなさいよ!」
「・・・ん、なんだよ、人がぐっすり眠って・・・、何だこれ。」
「これで全員起きたね。・・・自己紹介でもする?」
俺に聞くなよ。幽霊みたいな男もじっとこっちを見てるし。
「あー、そう、だな。何がなんだか分からんが、自己紹介はしといたほうがいいだろ。」
「誰から・・・始めるの・・・?」
「ほら、言い出しっぺ。」
七瀬。言い出したのはお前だろう。俺にふるなよ。まぁ、こうなるだろうとは思ってたけどな。
「名前だけでいいよな、俺は笠置 雄一。はい、時計回り。」
「え?えっと、七瀬 利香です。よろしくお願いします。」
「笹原 優里。よろしく。」
七瀬は黒髪のロングだが、こちらはショートカット。頭はよさそうだ。
「今野 真琴・・・。よろしく・・・。」
幽霊さんは今野さんだったらしい。外見だけでなく、名前も男か女か分からない名前だ。
「あたしは坂井 樹里。よろしくね。」
茶色の髪をカールさせていたためギャル系かと思っていたが、そこまででもないらしい。
ギャル系は苦手だから少し安心した。
「最後か。俺は及川 亮。よろしくな!」
・・・うん、七瀬と同じく、どこにでもいそうな男だ。テンションが高い。
「で、どうする?歩き回ってみる?行動するなら全員一緒のほうがいいと思うけど。」
そう提案したのは笹原。この中でリーダー的存在になるのはこいつか?
「あぁ、俺もそう思う。とりあえず、寝れる場所を探すか?」
「お、それ賛成!坂井に無理やり起こされてスゲー眠いんだよなー。」
「それはあんたが起きないのが悪いんでしょ。あたしのせいにしないでよ。」
「あれ?坂井さんと及川さんってお知り合いなんですか?」
「あ、うん。おんなじ学校通ってるんだ。利香ちゃんと笠置君も知り合いだよね?」
「はい。友達です。」
「へぇ?本当にそれだけ?笠置君。」
「あぁ、友達といわれてもショックを受けないから多分そうだ。それ以上でもそれ以下でもない。」
「なーんだ、本当か。優里ちゃんと今野君は?」
「うん・・・、知り合い・・・。」
「お隣さん。」
「じゃあ皆、知ってる人が1人いるんだ。」
「偶然じゃないだろうね。この6人は‘選ばれてる’。」
「・・・誰に。」
「分かんないけど。」
その時、マイクのスイッチが入るような音が部屋に響いた。
部屋の中が最初の時のように静かになる。
『ようこそ、サークルホテルへ。今回は私たち、サークル社の実験にご参加いただき、誠にありがとうございます。皆様1人1人に部屋をご用意いたしましたので、今夜はそちらで疲れを癒してください。実験については明日の正午頃放送します。正午までにロビーにお集まり下さい。』
放送は終わった。人なのか機械なのかよく分からない声だった。
「な、何?今の。」
「何者だよサークル社って。聞いたことあるやついるか?」
全員が笹原を見るが、彼女は首をゆるゆると横に振った。
「悪いけど。サークル社なんて聞いたことない。」
「クローズドサークルの・・・サークルかな・・・?」
「クローズドサークルって、本格ミステリーのか?」
「確かに、状況は似てるかもしれないけど・・・。」
「今考えても仕方ないよ。今日は部屋探して休もうよ。」
「さんせーい・・・、ねむ・・・。」
部屋を探すのに時間がかかるかと思ったが、ロビーを出たところに個室がいくつもあった。
ベッドがあり、風呂があり、トイレがあり、洗面所がある。普通の部屋だ。
いや、普通じゃないところがあった。
まず、どこにも鍵がついていない。部屋の扉にもだ。これにどんな意味があるのだろう。
テレビはあるが、電源がつかない。持っていた携帯電話は圏外になっていて使えない。
つまり、このホテルの外で何があっても分からないということだ。
部屋の窓は開かない。今は夜だから、窓の外は真っ暗だ。
真っ暗ということは、周りに電気がついているような建物がないということ。
もしかしたら、人なんかいないような場所なのかもしれない。
・・・そういえば、飯はどうする。今日は家で食べたからいいけど、明日からどうすればいい。
ドアが開かなくて窓も開かないなら、外に買いに行くことができない。
キッチンかなにかがあって、そこに全員分の食料があるのか。
それとも、サークル社とかいう奴らがどうにかしてくれるのか。
考えている間に腹が空いてきてしまった。
しょうがない、今夜は水でも飲んで、何も考えずに寝てしまおう。
考えると腹がすく、なら、考えないのが1番いいじゃないか。
考えるのは明日にしよう。今日はもう寝てしまおう。そうだ、それがいい。

1日目 終了
処刑者・・・なし 犠牲者・・・なし

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