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□クローズドサークル3
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「ねぇ・・・、そろそろ昼ごはん食べない?あの箱の中に届いてるんじゃないかな。」
そう言って昼飯の準備を始めたのは七瀬。
昨日放送で言われたとおり、全員がロビーに集まっていた。
「・・・おい、及川。あの箱の中・・・。」
「お前、見たのか?本と・・・。」
「あぁ。つーか、本は読んでない。」
「はは、そっか。ま、本を読むのは夜とかでもいいんじゃね?」
こいつと話してだいぶ気が楽になった。何か辛いことがあったらこいつに頼ってみるのもいいかもしれない。
全員分の昼飯を七瀬と笹原が運び終わった直後、放送が流れた。
『・・・さっそくですが、実験の内容、ルール説明を始めたいと思います。』
「なに、この機械音。ひどい…。」
そう言って顔をしかめたのは笹原。確かに、音質が悪い。
これでルール説明じゃ、聞いてる途中に頭が痛くなりそうだ。
『皆様にはここで、人狼ゲームをしてもらいます。役割は、占い者1人、村人3人、人狼2人です。村人陣営がいなくなるか、人狼がいなくなるか、両陣営が1人ずつになったらゲーム終了です。夜は自分の部屋で、村人陣営は処刑する人、人狼は処刑する人と噛む人を紙に書いて、投票箱に入れてください。投票結果は私達が朝お知らせいたします。部屋に戻ったら、部屋のグッズ箱の中を確認してください。役割を書いた紙を配布いたしました。ゲームは明日の朝から開始いたします。明日まで、誰にも役割を言わないで下さい。』
ここで放送は終わった。
「人狼ゲーム…。聞いたことはあるけど、やったことないなぁ。やったことある人、いる?」
手を挙げたのは俺と笹原。6人中2人か。
…ちょっと待てよ。村人陣営が4人、人狼が2人…?
笹原も俺と同じことに気付いたのか、信じられないというような顔をしている。
「な、何よこのゲーム。2回処刑を間違ったら終わりじゃない!こんな、信じらんない!」
そうだ。処刑を2回間違った場合、こうなる。
1回目処刑 村人陣営3人、人狼2人  1回目襲撃 村人陣営2人、人狼2人
2回目処刑 村人陣営1人、人狼2人  2回目襲撃 村人陣営0人、人狼2人
明日からということは、初日犠牲者は出ない、のか?それより、
「くそっ、初心者が4人もいるのに、なんでこんなきついんだよ!」
「お、落ち着けよ。それで、人狼ゲームはどんなルールなんだ?」
どこから説明しようか悩んでいると、今まで黙っていた今野が話し始めた。
「皆…グッズ箱を見た…?あれに入ってる本に、ルールみたいなのが、書いてあった…。」
「おぉ、サンキュー、今野。じゃあ、ルールは自分で確認するってことで。」
「…昼飯食おうか。」
「だね。いっただっきまーす!」
1番心配だったのは七瀬なのだが、今のところ元気そうだ。安心した。
…これから、安心して眠れる日はくるのだろうか。
そして、自分の役割はなんなのだろう…。
昼飯食べたら、すぐに確認しないといけないな。
占い師は面倒臭いからやりたくない。でも、初心者にあたったら1番やばいのも占い師だよな。
人狼は騙し合いのゲームだ。本当の結果を言っても、狼だと疑われる可能性は高い。
笹原にあたってくれれば1番良い気がするんだが。
そういや、処刑と襲撃ってどうやってやるんだ?
それと、あの拳銃はどうやって…?
今は知りたいことが多すぎる。グッズ箱の本に全て書いてあるだろうか…。

「ごちそうさまでした!」
この飯は誰が作っているんだ。サークル社が俺たちのために作ってくれてるのか?
分かることは1つだけ。美味い。とても美味い。
…そんなことを言っている場合じゃない。
俺たちは全員自分の個室に戻っていった。役割を確認する為だ。
俺も個室に戻り、開けたくなかったグッズ箱を開ける。
黒く光るものを見ないようにして、いつのまにか入っていた紙切れを広げる。
…本も見ておくか。
俺が最初に見たのは、処刑と襲撃の方法。
どちらも、拳銃をつかって殺せと書いてある。
拳銃を使うのが認められているなら、この2つの理由以外でも人を殺せるんじゃないかと思ったが、普段はロックがかかっていて使えないらしい。
夜の時間に、処刑の代表者(全員の投票が終わると、放送で名前を呼ばれるらしい)と人狼の拳銃のロックだけ外されると書いてあった。
処刑される人は拳銃が使えないから、抵抗できない。自分が投票した人が死ぬと考えるとちょいと怖いな。
…部屋に鍵がついていないのは、代表者と人狼が入れるようにか。
このホテルで、最低2人は死ぬんだな。
そのうちの1人にならないように、頑張らないと。
自分の命の為なら、七瀬の命だって捨てる。少し、きついけどな。
そういや、死体の処理は誰がするんだ?これもサークル社か。
最初から最後まで本を読んだが、処刑と襲撃以外は普通の人狼ゲームと同じだった。
こんなとこで命がけのゲームをするなんて、思ってなかったな。

2日目 午後
処刑者…なし 犠牲者…なし

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