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□クローズドサークル5
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『投票の結果、及川さんが処刑されました。犠牲者は、坂井さんです。』
ロビーはとても静かだ。
誰も喋らない。黙って朝食を食べている。
「ごちそうさま。」
会話がないまま、朝食が終わった。
「…人狼の行動について考えてみようか。」
そう言って紙を取り出したのは七瀬。
「まず、及川君が人狼だった場合。人狼は2人いたから、まだ人狼は1人生きてる。えっと、及川君が占ったのは坂井さんで、○。残った人狼は及川君が本物の占い師だったって思わせるために、坂井さんを襲撃した。」
「次に、及川が本物だった場合か。村人陣営を処刑したわけだから、人狼はまだ2人いる。…あれ?」
止まってしまった俺のあとに続いたのは、今野だった。
「及川君が本物だと…笹原が人狼ってことになる…。人狼は、笹原=人狼って思われるのを嫌がって…笹原から○をもらった僕を噛む…はず。でも、僕は生きてる…。昨夜の人狼の行動は…及川君を本物だと考えると、おかしくなるよ…。」
おかしくなるのか。だから俺は止まったんだ。
「…そういや、笹原。今日は誰を占ったんだ?」
「七瀬さん、あなたを占った。結果は●。…仲間が最初に処刑されて、残念だったね。」
「そっ、そんなっ、私は人狼なんかじゃ!」
「…七瀬。」
「笠置っ、笠置は私の事、」
「人狼ゲームで信じられるのは、自分と占い師だけだ。」
「…っ、皆騙されてるよ!笹原さんが人狼だ!及川君が本物だから坂井さんを殺したんだ!」
「…七瀬さん、落ち着いてよ。及川君が本物だとおかしいって話したばっかじゃん。」
「おかしいと思わせるために坂井さんを殺したんだよ!」
「七瀬、落ち着け!」
「笠置も今野君も、なんでそんなに落ち着いていられるの!?今夜殺されちゃうかもしれないんだよ!?」
「七瀬さんを処刑すれば…人狼は、いなくなるんだよ…!」
「そうよ、この意味が分からないの!?あなたがいなくなれば、うちらは生きてここから出られるの!うちらは、家に帰りたいのよっ!!」
「こんなゲーム、もう止めたいんだ。家に帰って、家族に会いたい。俺らが家に帰るには、お前が死なないといけないんだよ。」
「そんなのっ、そんなの嫌よ!なんで、なんで私があなた達のために死ななきゃいけないの!?私の人生は私のものよ!私のために生きさせてよ、私の人生を奪わないでよっ!!」
『時間です。個室に戻り、投票してください。』

〜夜〜
「あなたで、終わりですね。やっと家に帰れます。…ごめんなさい、××さん。あなたは私を信じてくれたのに…。」
「このゲームは、騙しあうゲームでしょう?騙された私が悪いんです。…さぁ、早く。私は、苦しいのは嫌いなんですよ。」
「…ありがとうございます。私はきっと、あなたを思い出すたびに後悔するんでしょうね。」
「私の事なんて、忘れてください。あなたが私の事で後悔する必要なんてないから。そんなことに、意味なんてないから…。」
夜のホテルに、銃声が響いた。
人の声がしない、本当に人がいるのか疑うくらい静かなホテルで、一回だけ。

4日目 終了
処刑者…及川、??? 犠牲者…坂井、???

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