跡忍/中学生的日常/セクシー小説

□夜中の電話(跡忍)★
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「あかん…」
こんなはずではなかった。
忍足はDVD再生器の前で撃沈していた。
ラブロマンスものを借りてきたはずが、なぜホラーを借りてきてしまったのか。
「あかん、怖い…」
目の前で繰り広げられる壮絶な怨霊劇に、たまりかねて忍足は携帯を取った。
明け方の4時である。
『…………もしもし?』
寝起きの低音が耳に響き、安心した忍足は思わずぶわっと目に涙を溜めてしまった。
『………で、そのホラーとやらが怖かったと』
呆れ果てた跡部に説教を食らいながら、忍足は正座してその声を聞いていた。
『とりあえず消せよ、その画面』
「おん」
もっとも過ぎる跡部の指示で、ようやく硬直していた忍足が電源ボタンを押す。
『ちなみに、なに借りてきちまってこんなことになってるんだ?』
ハァ、とため息を吐かれつつ、忍足は素直に答える。
「貞子…リングや」
エンゲージリングものを借りたはずだったと力説する。
『………』
跡部はもう何も言わなかった。
「堪忍な、跡部…こんな時間に」
気づけば小鳥が鳴き始めている。
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