白の魔女セル


□美しき姉
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先日、姉であるシナモンが女王候補に選ばれたと聞き、村の近くにある森から帰ってきたセルはケーキを焼いていた。

もちろん、シナモンのお祝いのためだ。

ちょうど焼き上がりデコレーションも終わったところでコルヌの怒鳴り声が外から聞こえた。


「なんだァ!?この放蕩息子が、帰ってきてもおまえの寝場所はねーからな」


ポワーヴルが長い放浪から帰ってきたらしい。

怒り心頭という形相で家に入ってきたコルヌにセルは眉をさげた。


「ぱぱ、わたし……」

「……いいんだ、おまえは。辛くなるだけだ……」

「うん……」


心は結晶化する。

深く相手を愛し、そのハートが真っ赤になったとき、そのハートを相手に捧げなくてはならない。

魔界の人々のハートは一つ。理由は心のエネルギーが少ないから。

セルはその事実をひどく悲しんだ。

自分を愛したがために真っ赤な真紅のハートを残して逝ってしまうことを。

今もそのハートたちは森のセルの家に保管されている。

写真と思い出を綴った日記とともに。
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