白の魔女セル
□ちいさな魔女
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女王にキャンディが即位し、しばらくして新たな二人の女王候補が人間界へ旅立った。
一人はキャンディの娘であるバニラという内気で大人しい子。
一人はシナモンの娘である勝ち気で男勝りな魔界でモテモテの元気な子。
これは女王キャンディとシナモンの意志であった。
しかしキャンディには気掛かりなことがあった。
セルが見つからないのだ。
「セル……」
「陛下、その名はお慎みください」
「グラシエ大尉、そうね。でも……」
すぐに捕まってしまうと思われたセルだが、シナモンが指名手配されて以来彼女の姿を見たものあの姉弟以外いない。
キャンディはセルの身を案じていた。
もしかしたら、どこかに捕らわれ幽閉されているのでは、と。
「心中お察しいたしますが……」
このグラシエ大尉もセルの友人の一人だった。
たまに会って何でもないことを駄弁ってお茶をする。
はたから見ればとても奇妙な関係だったろう。
かたや孤高の軍人、
かたや傾国の美少女だ。