短編
□保護者の影
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今日も1日の授業が終わり、渚と帰途につく。
本当に下らない話ばかりするんだけど、そんな時間が楽しい。
「あーもうすぐテストかぁ」
「杉野は社会が苦手なんだっけ?」
「社会もだけどさ、英語も最近やばいんだよー…渚はいいよな、英語得意で」
「英語好きだからね」
確か渚は前回のテストで英語が学年6位だったはず…スペルミスさえなければ、学年1位もとれてたかもしれないのだ。
「…そうだ!今度俺に英語教えてくんない?」
我ながらナイスアイディア!渚に教えてもらえば良いんじゃん!社会は磯貝に教えてもらおうかな〜…
「あ、いいよ僕で良ければ…何なら今から家来る?」
「まじ?よっしゃ!」
…この時はまだ知らなかった。
渚の家に行くということが、どれほど恐ろしいことだったのか…
「着いたよ」
「ここかぁ!おじゃましまーす」
靴を脱いで渚の部屋に向かう…と、渚が背後から誰かに抱き締められた。
「渚くんお帰りー」
「わっ!びっくりしたー…カルマくんただいま!こんな早い時間になんでいるの?」
「今テスト休みなんだよ」
…誰?兄ちゃんとか?
え、でも渚一人っ子って言ってなかったか?
俺が怪訝そうにカルマくんと呼ばれた人を見ていると、その人は俺を…視線で殺されそうなくらい睨んできた。
…こ、こぇぇ!!
「渚くん、誰こいつ」
ほら最初っからこいつ呼ばわりだし!!何この人!!
「もーカルマくんこいつとかいっちゃだめだよ!中学の友達の杉野!!」
「ふーん…杉野クンか…渚くんがいつもお世話になってます」
「ぁ…ぃぇ…」
怖い怖い怖い!!
微笑んでるけど目笑ってねぇ!!
俺は逃げる様に渚の部屋に入った。