アルテア王国物語 第一部
□第六話 エリーとエミリア
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「仕事、覚えてきたからね、ヴィレ」
「ふーん」
「あ、ロイドさん、いらっしゃい、来てたんだ」
噂をすれば影、ヴィレが下げてきた皿をエミリアの傍らに置いた。
「エミリア、冷奴と枝豆、揚げ餃子だって」
「はーい」
エミリアは冷凍庫から揚げ餃子を取り出した。
「ところでロイドさん、この前来た女の人とはどういう関係?」
ヴィレは言った。
「なんだ、唐突に」
ロイドは答える。
「何の関係でもねえよ」
「本当に?なんだか仲良さそうだったけど?」
と、その時フライヤーに入れようとしていた揚げ餃子をエミリアは落とした。
凍っているものだから、カーンと跳ね返ってツルッと滑る。
そして、それは放物線を描いて、ロイドの目の前に出された皿の中に入った。
「おーい、エミリア、凍った揚げ餃子なんて食えねえんだけど?」
「‥‥‥あ、ごめん。揚げ餃子が勝手に飛んでいっちゃった」
「‥‥‥あ、そう」
ロイドのつぶやきにヴィレは大きな声で笑い出した。