Snow Bound Land

□無自覚なぬくもり
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「おいおい…冗談だろ?」


俺は思わず、そんな声を漏らしていた。

緑の世界へ向かう途中、今日のところはここで野宿しようと決め、簡単に夕食を済ませてから、俺は彼女の傍から離れた。

来る途中で見かけた、珍しい花を観察しに行こうと思ったのだ。

そして、少しして戻ってきたと思ったら。

こいつは暢気なことに、火の前に座って眠りこけていた。

俺がいなくなる前に付けてやった火は、今にも消えそうで、このまま火を消すわけにもいかないので、仕方なく薪をくべる。

すると、少しだけ勢いを増した炎が、ぼんやりと辺りを照らした。

それに息をつくと、チラリと横目で彼女を見やる。

ったく、どうして俺がこんなことをしなくちゃならないんだ。

それにしても…。


「焚き火そのままにして寝るとか、なに考えてるんだよ、こいつ……。
危機感とかないのか?」


俺は無表情に薪をくべながら、思わず眉をひそめる。


「大体、このまま火が消えたらどうするつもりだったんだか。
……消えかけてたし」


今は火のおかげで寄ってはこないだろうが、この辺りには、人に危害を及ぼす獣だっていくつか生息しているはずだ。

寝ているところをそんな獣に襲われたりしたら、いくら怪力とはいえすぐに太刀打ちできるとは思えない。

こいつがいくら怪我しようと俺には関係ないが、もし死んだりしたら女王様の元へ連れて行くという俺の使命が果たせなくなる。

それだけは、何としてでも避けなければならなかった。

真っ直ぐに焚き火を見つめながら、俺はつい数日前の黄色の世界でのことを思い出す。


*
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