現世の心
□第一話
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『う………ん…』
どれくらい気を失っていたのだろうか。
『(私…生きて、る?)』
確か……突然大きな穴が現れて、そこから落ちて……
朦朧としながら上体を起こし、周りを見ると、私の頭は一気に覚醒した。
『え………どこ、ここ…』
一瞬、夢なのかと思った。
今、この瞳に映っているのは…
とても暗くて、かなり古い感じの町並み。
『(一体、どういうことなの?)』
どんなに頬をつねってみても、感じるのは痛みと寒さだけだ。
よろめきながら立ち上がり、辺りよく見てみると、
『(なんだか……江戸時代の京都っぽい…?)』
地面もどう見てもアスファルトじゃないし……ということは…
『タイムスリップ……?いや、まさか……』
まさか…本当にそんなこと有り得るの……?
『とっとにかく……誰か探さなきゃ………なんか少し寒いし』
さっきまで春だったはずなのに、空気はまるで冬のように冷たい。
『あ、あれ……?荷物が…木刀しかない』
ふと気がつくと一緒に落ちたはずの荷物がなく、見つけたのは退治用の木刀だけだった。
辺りをどんなに探してもそれらしいものはない。
こんな場所だから自分の荷物がわからないはずはないのだけれど…
『大変…!鞄の中には大事な物が入っているのに…!』
と木刀を拾いつつ、なんとしても見つけ出そうと、一歩足を踏み出したその時だった。