現世の心

□第二話
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『んん…………?』




目を開けると見慣れない和室が見えた。

気がつくと私の体は縄で縛られ、口元は布で塞がれている。

そして左肩には包帯がきちんと巻かれていた。



『………………』



まだ呆けている頭をなんとか回転させると、昨夜のことを思い出した。


『(そっか…ここは新選組の屯所っていってたっけ)』


そして私は昨夜…見てはならない物を見てしまった上に斬り殺してしまった。

そしてその場面を彼ら新選組に発見されてしまい、今に至る。




スッ…




斎藤「目が覚めたか」

『?………』


斎藤「待っていろ。今縄を解く」


部屋に入ってきた斎藤さんは私に近づくと口元の布と胴体の縄を解いてくれた。


……手首の縄は縛られたままだけど。


斎藤「来い。局長たちが待っている」

『……………』


斎藤さんに立たされ、私は斎藤さんと共に幹部たちのいる部屋へと赴いた。



ーーーーーーーーー




斎藤「局長。お連れしてまいりました」

「ああ、入ってくれ」


斎藤さんは部屋の襖を開け、私を中に入れると、鋭い視線が一斉にこちらに向けられた。


「おはよう。昨夜はよく眠れた?」


昨夜、斎藤さんたちと一緒にいた男性ーー沖田 総司さんが笑顔で質問してきた。


『……一応は』


…正直手足縛られてて、寝心地はそんなに良くなかったけど。



「手荒な真似をしてしまい、申し訳ない。まぁ座ってくれ」


陽気な笑顔で促す大柄なこの人が、恐らく局長なのだろう。


「肩の怪我の具合はどぅだ?」

『…大丈夫です』

近藤「そうか。
俺は新選組局長、近藤勇だ。
隣にいるのが新選組総長、山南敬助。そして、こいつが…」

土方「近藤さん!さっきと同じ事してんじゃねぇよ!」


局長の近藤さんが自己紹介をし始めると、土方さんが強く制止した。

"さっきと同じ"って事は、近藤さんは私の他にも自己紹介したのだろうか。


『(…てことは、あの“女の子”は先に目を覚ましたわけね…)』


土方さんに突っ込まれた近藤さんは困ったように唸る。


近藤「む?そ、そうか…し、しかしだなぁ」

『別にいいですよ』

近藤「い、いや…しかし…」


『それに、私が言うのもなんですけど、これから処分を決める奴に自己紹介しても…無意味だと思います』
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