現世の心

□第四話
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元治元年
三月

広間にて


『好みの和服…ですか?』

近藤「ああそうだ。何か要望はないかね」


近藤さんと土方さんに呼び出しをされ、向かったところ、どうやら私に着せる着物を特注で作ってくれるらしい。


土方「いつまでもそんな格好でうろつく訳にもいかねえからな。他の隊士もお前の格好を好奇の目で見てやがる」



確かに。


八木邸でたまに隊士さん達とすれ違う時があるけど、その度に物珍しい目で見られる。

まぁ仕方ないよね、"未来の服だ"なんて信じてもらえる訳ないもの。


『別に動きやすければ何でもいいので、近藤さん達に任せますが…

まぁでも派手なのはちょっと…』

土方「誰もそこまで言ってねぇよ…

だが、本当に俺たちで決めちまって良いのか?出来た後で文句言われても知らねぇぞ」

『はい、お任せします』

近藤「あい分かった!ならば君の着物は我々が考えておこう!
期待して待っているといい」



話し合いはあっさりと終わり、私は二人に挨拶をして広間を出た。




ーーーーーーーーーーー




『着物かぁ…』


廊下を渡りながら私は独り言を呟く。


『着物なんて今まで着た事ないからなぁ…一回で覚えられるかな』


当然のことながら物心ついてから今日まで着物を着付けた事なんて一度もないのだ。


『くノ一みたいな簡単そうなやつだったら……一人でもいけるかな。いざと言うときに動きやすそうだし……



まぁいいか。結局、近藤さん達に全部任せちゃったし…』

千鶴「どうしたんですか?瑠樹さん」


一人でぶつぶつ喋りながら歩いていると、部屋の窓から千鶴が声をかける。


『いやね、近藤さん達が私に着物をくれるみたいなんだけどね。
なんせ私、ずっとこんな格好なんだし』

千鶴「そうなんですか?良かったじゃないですか!きっとお似合いだと思いますよ!」

『いやいや、デザイン…じゃなかった、構成は全部任せちゃったから実際、どんなのが出来るのかまだ分からないのよ』

千鶴『きっと近藤さんの事です。瑠樹さんに一番似合う着物を考えてくれます』


笑顔で話す千鶴に『そうだといいね』と返す。




すると……
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