現世の心

□第四話
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ガッシャーーン!!




「『!?』」


突然の物音に、私と千鶴は音のした方向へ向く。


『…な、何?…今の』

千鶴「さ…さぁ…なんでしょうか?」



沖田「一君、そっち!」

斎藤「分かっている。だが目に見えたからと言って捕らえられるかは別の問題だ」

沖田「下手な言い訳してないで、もっと気合い入れて走ろうよ!」

「な、何やってるんです?こんなところでーー…わっ!?」


「『…………』」


この声って…沖田さんと斎藤さんと…確か、監察方の山崎さんの声、だよね?


千鶴「一体、何事なんでしょうか…?」

『…ちょっと見てみる?』

千鶴「えっ…でも私、部屋出られないんですよ?」

『ひょっこりと覗けば大丈夫じゃない?
それに、千鶴も気になるでしょ?』

千鶴「…じゃあ、ちょっとだけ」


お互い不安と好奇を抱えながら、音のした方へそっと覗く。



「にゃーーんっ!!」


『ふぇっ!?』


いきなり目に飛び込んできたのは一匹の猫。


山崎「何なんですかこの猫!もしかして沖田さんのですか!?責任持って捕まえて下さい!」

沖田「僕のじゃないってば…!捕まえたいのはこっちも山々!」

斎藤「総司。口論してる暇があるなら、もっと気合い入れて走ってくれ」

「にゃーーんっ!!」


『……………』



な…何という光景なんだ……
泣く子も黙る【新選組】が猫一匹と追っかけっこだなんて…!

自分の目を疑わざるを得なかった。


『…………』


開いた口が塞がらないというのはこう言うんだろう。

私は茫然と立ち尽くし、走り過ぎ行く彼らを黙って見送るしかなかった。


永倉「瑠樹ちゃん、何してんだ?」

『あ…永倉さん。原田さんに平助君も…一体どうしたんですかこの騒ぎ』

平助「あー…その辺を説明するとさ、すごく長くなるんだけどいいか?」

『わ、わかった…』

永倉「んじゃそうと決まれば早速作戦会議だ。千鶴ちゃん、ちょっと部屋借りるぜ」

千鶴「え!?」

原田「ほら、瑠樹も来いよ」

『えっ?ええっ?』

平助「早く早く!」


三人に強引に連れられ、私も千鶴の部屋に入ることになった。


何がなんなのか分からない私と千鶴はどうしようもなく動揺する。
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