SS

□(仮)
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「ってぇ…!」
誰もいないバックルーム、部屋の隅に土方は押しやられ壁に肩を打ちつけられた。
このかき入れ時という時間だからまぁ誰もいないのも当然、ましてや人手不足で助っ人を呼ぶほどの日なのだから。

壁に押し付けた両肩を押さえる銀時の手の平、怒っている相手の雰囲気に土方は眉をひそめてそろっと相手を見やった。
きりっと、いつものやる気の無い瞳は僅かばかりの怒りを湛えて見据えてくる……が!

「…っ〜ぶっ…くっく…は」
「ひーじーかーたーくぅ〜ん?!!」

「ゴメっ…悪ィ…でもなっ…」
どうしようもなくこみ上げる笑いを押し殺す事が出来ずに土方は吹き出してしまうのだった。

そしてそれは銀時の怒りを煽る事になるわけで…。

「なっ…やめろこのオカマ!」
怒りに任せて銀時が土方の隊服を剥ぎ取りにかかるのに土方は慌てて静止する、そのついでに余計な事も口走る。
はっと気が付いた時には紅をひいた赤い唇はキレイに弧をかいて、しかし口端は歪み引きつっていた。

「マジで犯す!犯し尽す!!のガキャァァ!!」
「…ちょっ…ヤダって!!こんなトコ…ッ!」

土方の抵抗に銀時は口紅でべっとりの唇で土方のシャツにこれでもかと口付ける。
「あぁーー?!何すっ!?」
「うるせぇスキャンダルのお土産付きだ、ありがたく受け取れコノヤロー」

「いるかぁぁぁ!!」
「うるせぇよ、ほら上脱げ、誤魔化し様がねぇくらい口紅まみれにされてぇか?屯所帰ったら…怖いんだろうなぁ?」
「…〜っ!!?」

睨みつけてくるもののぐっと言葉に詰まる土方に意地の悪い笑み浮かべるとそのスカーフを引き抜いて首筋に唇を這わせる。
赤い紅がうっすらと後を引いて残る様は何か扇情的で、口付けながらも釦を外していく手をうっかり止めてしまいそうだった。

「んっ…銀髪…」
胸へと這う舌先に、土方の吐息の甘く溶け出すのを聴いて、やや機嫌を回復した銀時がのぞき見るように土方へと視線を投げれば伏目がちな土方の視線とかち合う、いつものように口角を緩く吊り上げた余裕の笑みを投げてやれば、その勝気な瞳にはいつもなら悔しげな色が浮かぶのだ…。

「…っ〜ふ…くくっ…」
「………このガキ…いい根性してんじゃねぇの…?」

この期に及んで未だ笑う土方に銀時の目つきが笑む口元と半比例して怒気をます。

がっと立ち上がった銀時が手にしたのは、新人用のお店に置かれた貸し衣装だった。
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