SS

□気まぐれ
1ページ/7ページ

身体が重い…眠気とだるさで腐り堕ちそうだ…
だがそれよりも…汗に…吐き出されたままの白濁にべたつくのが気持ち悪くて土方は目を覚ました。
時計を見やって一瞬蒼ざめ、がばっと身を起こして思い出した事実に胸をなでおろした。
今日は外泊すると、届けてからきているのだった。

無理やりに起こした身体をもう一度横たえようとふと視線を落とせば先ほどまで執拗にこの身体を貪ってくださった白夜叉様は深い眠りに浸りながらそこにいた。
ふわりと柔らかなその髪は横たえていても重力に負けることなく持ち上がっている。
色素の薄いその肌には銀色の髪が影とそれに反射する日の光を落としていた。

顔だきゃあ…綺麗なんだ…それは総悟の奴もそうだけれど…それでいて割りとくせのある性格なとことかも…
それに加えてこいつは…とらえどころがなくて、どう対応したものかほとほと悩んでいたり…

ただ…自分にとってこいつの存在は都合がいい。
ただそれだけ…それだけの関係のはずだ…すくなくても、そう言う考えから始まった関係。

最初から、興味深い男ではあった…攘夷派の一味かと一時思ったその男が再び俺の前に姿を現したのは、近藤さんから決闘で汚い手を使って女を取ったというふてぇ野郎を探していたときで…
叩っ切るつもりで行って、負けた上に情けまでかけられて、この野郎曰く俺に情けをかけるくらいならご飯にかけるそうだが…手加減されたのは事実で…
それはものすごくシャク触る事実で…

いろいろと関わる間に肌を合わせるようにすらなった…



でも、この男と肌をあわせる理由は……

その時点では『都合がいいから』に他ならなかった。

近藤さんに抱いてくれなどと…口が裂けても言えないし、総悟に抱かれてやるわけにもいかなかった。
真選組内に、そんなごたごたの原因を俺が持ち込むわけにはいかないからだ。

そう、だから都合が良かった…
女でも事は足りるが…まぁそれもやったんだが…俺が他の男と関係していると知れば、より効果もあるだろう。
総悟に俺をあきらめさせるには都合が良かった…
是が非にでもあきらめてもらわなければ困る。

近藤さんに抱かれたいなどと思うこの身体を押さえるのにも都合が良かった…
なにがあろうと抑えなくてはならない。

この男となら…いつでもキれることができる…飽きたら、必要がなくなったら…関係するのを止めてしまえばいいだけのこと…
もともと割り切った関係だから後腐れも少ない。

この男と自分が寝るのは、『都合がいいから』ただそれだけと反芻して、いつの間にか自分自身に言い聞かせるようになっていることに気がつく。
まるでそう言い聞かせなくてはならない相反する感情を抱えているかのようではないか。
行き当たった疑問に、見つめたままだった銀髪から視線をずらして腰を上げた。
とたんに痛む腰に動きを止めてもう一度銀髪に…いや、腰痛の原因に視線を戻した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ