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□招かざる来訪者
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腰に挿した刀に、僅かにでも手が掛かったら…木刀では明らかに不利ではあるも、いつでも飛び出せる様に手を伸ばす。
しかし高杉の手は一度も刀に触れることなく、銀時のすぐ前にしゃがみこんだ。
「何しに来た……?」
問えば、唇が重なって、今、身を横たえていた布団のうえに押し戻された。
これが答えなら、ナニしにきたというわけだ…
ただ久しぶりに触れた高杉の冷たい皮膚の感触に昔を思い出したりして…
弁明するんならば…油断してたわけではない…本当にそれまで殺気なんて全然感じられなくて、唐突にふきあがった殺気に面食らった。
半分ほどしか鞘から抜かぬままに喉元に刀が突きつけられていて、首の皮に血が細いラインをひいた。
「お前を…殺しに…。」
「……――そうか。」
ぴりぴりと…刀に触れる皮膚が痛い…そこから直接毒気を挿しこまれる様で…
「でも…てめぇの血ぃみたら…その前にやることがあった事を思い出した」
がっと着物を剥かれてその白い肌が露になる。
「ヤってから…ってか?」
「犯して殺して、死体をもう一度犯してやるよ…」
「死姦かよ…趣味わりぃな…」
にぃとゆがんだその唇は三日月のよう…
それに銀時は嫌そうに呟いた。
高杉とは過去に幾度か体を重ねた事がある。
大抵の場合コイツが満足するまでさんざ体を使われる…って感じで…あまりいい思い出はない。
一度だけ抱いた事もあったな…それもやれって言われたからだが…
噛み付くように首筋に落とされる口付けに眉をしかめて、首をすくめれば邪魔だと罵られて髪を引きつかまれた。
無理やり首筋を伸ばして次々と噛みついていく。
見下ろしてくる隻眼に…高杉の去っていく後姿を思い出す。
高杉の目が失われたその日と…
片目を…仲間を…失って徐々に感情をも欠落させていくこの男に…あの日自分の言った言葉…
決別した…その時を…
「…っあ!〜〜っ痛!…高杉っ…いてぇ…」
ぎりっと高杉が銀時の胸に歯を立てる。
わずかに胸の突起から血が滲んだ。