SS

□気まぐれ
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昨夜は泊まっていくといったらやたらと張り切って散々に攻め立ててくれたのだった。

畜生…と見下ろせば何やら幸せそうに寝ている…

「んーいくらパフェでもそんなに食えねぇって…いや、食えるし…じゃあやらんとか言うなって…食うって…」

「なんか…すげぇムカつく…」
だいたい昨日のこの馬鹿は…人の金で散々飲み食いして、人の身体で散々性欲を満たして…

次第に募るイライラに…銀髪の幸せそうな寝言…
沸き起こったのはつまるところ…いたずら心…という奴だった。



「ちょっとーぉオイコラてめー土方コノヤロー!」
土方から遅れること30分強…眼を覚ました銀時の第一声はそれで、すっかり風呂で汗を流して、濡れた髪をかしかしとタオルで拭きながらひょいっと銀時のいる寝室に顔をのぞかせた。
あまつさえしっかりコーヒーなどをいれてそれをすすりつつだ。

「おお、どうした…銀髪…」

「いや、何コレ?何事?説明しろコノヤロー」
銀時が自らの手首にしっかりとはめられた手錠とそれを通してあるベットの柵とでガチャガチャといわせながら土方に悪態づくも土方の一言はいたって冷静であった。

「なんかお前むかついたから」
「何それっいじめかコノヤローいじめかっこ悪いよ!人権無視だよ!国家権力による弾圧だよ!」
「うっさい」
「銀さんだってオケラだってアメンボだっていきてるんだよ、みんなみんな友達なんだよ!!」
「わけわからねぇこといってんな!」

銀時の盛大にぼけた台詞にたまらずに土方がつっ込みを入れる。
「つーか、マジでなんのつもりなんだ?」

「………」
「なんかいえよコノヤロー」
「お前ってさ、エキサイトしてるようで、なんか、割と余裕なんだよな…」

「は?…何いってんの?いきなり…」
「そーゆうとこいいよな…俺はすぐカリカリしちまうからよ…」

「いや…何の話なの…だからさ…土方…今日おかしいんじゃねぇ?」

「そーか、おかしいか…」
「……土方?」

訝る銀時が土方を見上げればごそごそと胸ポケットをあさって小さな鍵を引っ張り出した。

「…これ、欲しくねぇか…?」

「そりゃあ欲しいけど…」

言葉を濁しがちに銀時がそういえばにっと笑った土方がその鍵をぱくりと口へ放り込んだ。

一体なにがしたいのかと見やる銀時に側まで来てベットへと座った。
土方のぶんだけ沈むベット…
銀時は手は柵に繋がれたまま身を起こして身体を捻って土方のほうを向く。

すぐ眼前にまでよった土方の唇が、綺麗に弧を描く
「取ってみろってか…」
「欲しいんだろ…?」

「生意気だなオイ、土方君の分際でさ、ちゅーで銀さんに勝てるつもりかコノヤロー」

「ふん、」
ふと、触れるだけのキス

取ってから言えよ…

銀時の唇にかるく触れたままそう発音する唇にそのまま喰らいつく。
侵入を果たした舌は土方の口内にあるちいさな異物に行き当たりそれを奪おうと絡むも、取れそうになると土方は身を引いて逃れてしまうのだった。

いつもなら…、つまりは手が自由なら、こんなガキ押さえつけて身を引くことなど許しはしないのに…
やはりこの状態は幾分にも不利だ。

それでもしつこく挑むうちに鍵を奪取することに成功して、自らの口内に移ってきた鍵を頭を手元まで下げてつまむと、手錠の鍵穴へと突っ込んだ。

「ほーらっ取ったぁ、どんなもんだっての」
「…ちっ……やられた…」

さして悔しくもなさそうに土方がそうつぶやくのが聞こえる。
鍵を取った銀時が鍵穴に突っ込んだそれをがちゃがちゃやるものの、鍵は一向に回らない。

それに顔を上げて土方を見やればいたずらっぽく笑う土方がこちらをのぞき込んでいるのだった。
「てめー…ダミーかコレ…オイ」
「それの鍵だなんて…言ってないだろ?一言も…」

半眼で問う銀時にさらりとそう応える。

「なんなの?なにが目的だ?犯行の動機はなんだコラ、」
「いや、だからムカついたから…だったんだが…」

うーんと天井を見上げつつ土方が返してくる回答は大分アバウトだった。
「何それ、ひどくね?もーいいからさ、とっとと外せよこれ」
「んーそれは、有料だな…」
「金とんのかコラっ!?自分でハメといて金を要求って…詐欺師か?!ってか俺が金なんて持ってるわけねぇだろっ」

わめく銀時の頬に、土方の手の平がそっと触れる
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