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□□square□‥‥2[多角的渦]
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「悪いとは…思ったんだけど…、でも先生嫌だっていってもきいてくれねぇし…」
緩く頭を撫でてやれば気恥ずかしそうに横目に睨んでくるものの、僅かに安堵を滲ませて土方は再び口を開く。

「解った、確かに俺が強引だったね…ごめん」
「……、わ、解ってくれたらいいんです。」

珍しく土方の言い分をさらりと飲んでくれる銀八に土方は驚いたように背けていた顔を向け直して、そのまま銀八を見上げる。

「うん、でもね…?」

「は、ハイ?」
にこやかな銀八の笑みの横に拳が固められるのに、不穏当なモノを感じて土方の口元が引きつった。

「だからってあんのゴリラとデートして無くてもいいだろォォォが!!!」
「痛っ!!」

ごちりと頭へと降ろされる拳はそのまま其処にぐりぐりとねじ込まれる。

「痛ェ痛ェ!痛ェっ〜!!センセっ…痛い!!」
「喧しいっこのガキっ…!浮気モノ!」

「違ぇーよォ!飯奢ってもらってただけだって!!デートじゃねぇよっ!大体高杉も一緒だったろっ?!」
たまらずに銀八の手首を掴んで土方がする抗議に銀八は拳は緩めるもじろりと土方を見下ろした。

「嬉しそうにしてたくせに…。」
「…だって…いや、その…別に待ち合わせてたとかじゃねーんだよ、たまたま高杉に会って、それで近藤先生が高杉捕まえてくれっていうもんだから……、一緒に連れってただけでさ…」
必死にする状況説明もどこか言い訳がましく、土方の語尾は尻すぼみになる。
どうせどれだけ説得しても無駄なのだ、いちゃもんを付ける隙をナノグラムでも与えたら終り。
大抵ソレを口実にした『お仕置き』と称されるプレイで責め続けられる事になるのがいつもの事だ。

睨み降ろす銀八が、己の手首を掴む土方の手をじろりと忌々しげに見やれば、おずおずと土方は手を下ろした。
経験からこういう時は逆らわないのが一番良いのを知っている。
きゅっと唇をかんで目蓋をキツク閉じて顔を背けた、でもすぐに顎を掴まれて背けた顔は無理やり戻される、そして噛み付くような口付けに為すすべなく飲まれるのがいつもで……

でも、今日はそうならなかった。

柔らかく触れる唇、そっと重なって、それに何事かと土方は降ろした目蓋をそっと開く。
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