ブラザーズコンフリクト
□お別れ
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「この時間は先生が不在なため自習だ〜。ここにプリントを置くから各自しっかりと取り組むように」
「はぁぁ!?プリントだと!?先生!!何でプリントなんかあんだよ」
「それはお前らが学生だからだ」
「そんなん別になくたって立派に生きていけるよ〜先生」
「赤点のお前が言う台詞か〜?」
「うっ……」
「しっかりやれよ〜」
教室内からはメンドー、ヤダーなどの声が響いている。
奈々「ほんっとに面倒だよ。ね〜月輝」
『…………』
奈々「月輝〜?お〜い」
『……へっ?』
奈々「『へっ?』じゃないでしょ〜もう!」
『ごめんごめん』
奈々「最近よくボーっとしてるよね月輝って」
『そうかな〜?奈々よりは、してないと思うけどな』
奈々「えーひどっ!あたし確かに授業中、居眠りとかボーっとしてることあるけど休み時間はシャッキッとしてるよ」
『休み時間の間だけね』
奈々「今の月輝には言われたくないぞ〜」
『じゃあ私も奈々に言われたくないよ〜』
奈々「仕方ない…ここは引き分けにしといてやる」
『私たち何の勝負してるんですか奈々さん』
奈々「ぼんやり対決さ!」
『奈々さんごめんなさい。私の負けです。奈々さんの居眠りなどといった、ぼんやりには勝てません。奈々さんに勝利を授けます』
奈々「ホント!ありがと〜ってそんなもんいらんわ!」
『自分から言ったくせに〜』
奈々「せめてそこは否定しなさいよ〜」
『事実だから(笑』
このような会話はいつも通りだけど奈々の言うとおり私は最近ぼんやりする日が多かった。
理由は……もちろんアレだ。
自身の記憶を取り戻したあの夜のこと。私を襲ってきたモンスターに私の力。あの時は一体だけだったけど、きっと他にもモンスターはいるはずだ。確信はないけど多分いる。
そう私の勘がそう告げている。
「なぁ、知ってるか?最近ここいらで不可解なことが起こっているらしいぜ」
「ああ、知ってる。アレだろ?夜中に突然、人が消えるってやつだろ?」
「そうそれ」
「でもあんなの単なる噂だろ」
「実はそうでもないらしいぜ。俺の兄貴の友達が言っていたらしいんだけど夜中コンビニに行った帰りに突然、辺りが真っ暗になっていて気がついたらさっきまでいた人がいなくなってたらしいんだよ」
「は!うそだろ!?なんかの見間違いじゃねぇ?」
「そいつもそう思ったらしいんだけど、周りに誰もいないはずなのにさっきまで人がいた場所から携帯の着信音が鳴っていたんだってよ」
「それって……そこにいた奴が持っていたやつなのか?」
「そうらしいぜ。鞄と携帯が落ちていたらしい」
「ちょ!!ま、待て!リアルに怖い!」
「兄貴の友達も怖くなって走って家に帰ったらしい。次の朝テレビで、行方不明のニュースやっていたらしくて、そのとき夜に見た鞄と携帯がテレビに映っていたらしいぜ」
「お、おいやめろ。こ、こわいだろそれ」
「聞いた俺だってこえーよ!」
『さっきの話……』
奈々「あぁ、謎の神隠し事件ね…」
『……神隠し?』
奈々「さっき男子が言っていた通り人が突然消えるから謎の神隠し事件って噂されるようになったのよ」
『でも噂でしょ?』
奈々「それがそうでもないらしいのよ。実は、この学校にも神隠しにあった子がいるみたいよ」
『え?』
奈々「最近、四組に二人休みがいるって噂になってるでしょ?最初は皆、風邪だろうって思っていたの。もちろん先生もね。でも二週間経っても学校に来ないしが家にも連絡がつかないらしい」
『に、二週間!?』
奈々「先生たちもおかしいと思って家に訪ねたらしいんだけど、そこにいたのは母親だけで、それ以外は誰もいなかったみたい」
『ちゃんと確認しなかっただけなんじゃ……』
奈々「それがそうでもないみたい。先生たちも母親が言わないだけで、ちゃんと家にいるのかと思ったらしく家の中を見たらしいけど……誰もいなかったみたい」
『!!!』
奈々「子だけじゃなく父親も同じ日から家に帰っていないらしいわ」