ブラザーズコンフリクト
□回り始める兄弟の歯車
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私は走った。
二人に戦っている姿を見られた。
だから逃げるかのように
必死に走った遠くへ遠くへ…
だけど……
棗「…っ!待て!!」
追いかけてくる。
なんで追いかけてくるんですか?
ほっといて下さい。
誰も構わないで!
そう思って必死に走った…
でもダメだった。
あの人は元陸上部だったから速い。
私の身体能力でもあの速さには負ける。そのため追いつかれてしまった。
棗「…!やっと捕まえたぞ!なんで逃げるんだ!?」
『離して下さい!!!』
棗「離したらお前はまた何処かに行くだろ!!」
『…っ!!……た………なんか…………貴方なんか大嫌いです!!!』
棗「なっ!……おい!大嫌いって……」
『……もう……ほっといて………ほっといて下さい……お兄ちゃん…』
私は感情が抑えきれなくなっていた。
大好きな兄だった。
だからこそ…寂しいとき、辛いとき、苦しいときに側にいてくれなかったのが哀しかった。
その頃の感情が大きくなったためか私は無意識にお兄ちゃんと呼んでいた。
お兄ちゃんなんて久しぶりに呼んだ…
棗「……………」
今の私を見てなのか分からないが棗さんが離してくれた。
『……………』
棗「……お前が俺を嫌っているのはわかった……でもこれだけは信じてくれ……俺は………お前が好きなんだ……」
『………え…?』
今…なんて?
なんて言った?
棗「お前は俺を嫌っていても俺はお前が好きだ」
棗さんは私を抱きしめた。
力強く…私が腕の中にいることを確認するかのように。
『……な、何を言っているんですか!そんな嘘なんか!!とにかく離してください!!!』
棗「…嘘じゃない!本当だ」
抱きしめる力が更に強くなった。
私はとにかく離れようと一生懸命、棗さんを押した。
『……そんな嘘を言うぐらいなら離してください!!』
棗「離したらお前はまた何処かに行くだろ。俺の前から消えるだろ!!四年前のように!」
『な!消えるって!!貴方が先に私の前から消えたんじゃないですか!!!とにかく離してくださ…』
離してくださいと言おうとしたその時、突然…唇と唇が重なった。
突然の出来事で私は頭が真っ白になった。
一体なにがおきたのだろうか?
今、何が触れている?
そんなことしか考えられない。
棗「……お前が……好きなんだ……妹じゃなくて…一人の女として」