メカクシティアクターズ

□カゲロウデイズ
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遊園地を堪能した私たちは
アジトに帰ろうとしていた。



だけど、帰り道がやたら騒がしい
人で溢れ帰っている。


何事だろうか?





大勢の人が向ける視線の先に目をやると、そこには救急車に乗せられそうになっている男の子と、それを心配そうに見つめる白い髪の青年がいた。







『……事故…?』







「……若いな」






「ん。怪我かな……?」






キドさんとカノさんがそう呟いた。
男の子は意識を失っているが
体に目立った外傷は見当たらない。






なんだろう?
なんだか嫌な感じだ……




皆はそれほど興味はないのか
すぐにアジトへ戻ろうとしていた。
だが……






「……!」






「エネちゃん?どうしたの?」







「……コノハ……?」






エネさんは「コノハ」と呟いていた。






「え……?何て言った?」






『……エネさん…?』






救急車は動き出し、 
病院にいこうとしていた。

サイレンを鳴らしながら
救急車はこの場を離れていく。









「……妹さん!今の人、追いかけてもらえますか!?」








「え、えぇ!?なんで!?」






「いいから早く!!」







『どういう……』







「お願いです!」







エネさんはどうやら必死のようだった。
コノハという人を追いかけてもらいたいらしい。
知っている人なのだろうか?







「お、お兄ちゃん……!?」







「どうしたんだエネ。何かあったのか?」







「……なんで、なんであいつが……?」








エネさん……
本当にどうしたんですか?





何だろう
不安だ…
何かが動き出す
そんな感じがする


これは……
なんでかな…?


すごく知っている気がする
この不安の感じが……









ふと先ほどまで救急車がいた
場所を見つめる。

するとそこに黒い影があった。
そこに物などない
人などいない

なのに……
なのに…



どうして笑っているの?







黒い影が奥の方へ逃げていく
まるで意思があるかのようだ。









『……っ!ま、待って!!』






「ル、ルナ!?おいっ!どこに行くんだ!」





キドさんが呼びかける
けれど今の私は聞こえない。

黒い影が気になって…
私の意識はもう
黒い影を追うことしかない。







「ルナ!?どこに行くっすか!?」






「っ!!ダメだ、あいつ俺たちの声が聞こえていないっ」







私は皆を置いて黒い影の下へ走って行った。
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