メカクシティアクターズ

□アウターサイエンス
1ページ/5ページ






『………ありが――』






ありがとうと言おうとした私は途中で言葉をとめた。


だってそこにいたのは、アジトで留守番を頼んだ彼がいたのだから。








「あれ…お前には留守番を頼んでなかったか?どうした」






キドさんが問う。
でも彼は答えない。

それに若干、何かが違う。
確か服や髪は白かったはず、
なのに今は黒い……どうして?
顔は同じなのに……なぜ?







「コ、コノハ……?」






エネさんが少し取り乱す。
最初に彼を見たときにも、そうだったから何か関わりでもあるのだと思う。






「あっれ〜、何かあったのかな?あっ!もしかしてキサラギちゃんたちが帰って……」





「あぁ。あの時の『欺く』の子か」






ゾクッと背筋に寒気が走る。

何だろう…。
怖い、なんだか怖いっ!







「上手に『使える』ようになったもんだ」






「!?」






「君が大嫌いな傷がまた増えるね」







その言葉を残し辺りが静まる。
そこからはスローモーションのように
出来事が見えた。
パァァンと銃声が鳴り響く。






「カノ…?カノォォォォ!!!」





キドさんがカノさんに駆け寄る。
カノさんから血が流れる。
大量に大量に血が……!





突然のことに頭が追いつかない。
何で?何で?



ただ目の前のこの時間がゆっくりと動く。





「このっ…!!」




セトさんが銃を持った黒い奴の所に襲いかかる。
が………銃に撃たれる。





『セトさん…!!』




黒い奴がセトさんに近づき……
口の中へと銃を差し込む。
パァァンと音が鳴る。

ゆっくりとセトさんも倒れる。





そして次にキドさんに銃を向ける。
誰もが唖然と立ち尽くす。
そして動けない。







『キドさんっ!!!』







私は駆け寄ろうとしたその時。
また銃声が鳴る。





「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」







マリーちゃんの悲鳴が森の中で響く。
その声に奴はこちらにゆっくりと銃を向けた。




ああ!次はシンタローさんを…!
黒い奴がシンタローさんに銃口を向けたその時、シンタローさんの携帯が鳴る。
それを奴は取り上げ……握り潰す。







『エネさぁぁぁぁぁん!!!!』








また一人いなくなる。
嫌だ……いなくならないで…
やめて………やめてよ!!!
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ