罪を背負った翼
□第5話
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もう、私は終わりかもしれない。
敵に囲まれ、そう思ったとき……
『お父さん!!!』
確かに、そう呼ばれた。
懐かしい声で、お父さん≠ニ……
その瞬間、私を囲んでいた聖騎士たちが次々と撃たれ、倒れて行く。
「クロエ……覚えて…いたのか……」
クロエは頷く。
彼女の状態をよく見ると、悲惨なことだった。
どうやら、キング君が運んでくれたらしい。
「なんで……ここに…」
やっと絞り出した声。
クロエはビクッと肩を揺らす。
それもそうだろう、私は彼女を睨んでいた。
これも彼女をここから逃がすためだと思い、心を鬼にして睨む。
「早く去れ……」
自分でも聞いたことのないような低い声が出る。
「おじさん!クロエを助けるって言ったのに……」
キング君が私に向ってそんな言葉を言う。
「ああ、助けてやれとは言ったさ、しかし私の元へとは言っていない!さっさと去れ」
『……お父さん…』
クロエ……そんな顔で見ないでくれ、今君を引き留めれば、きっと後悔する。
それだったら、
私はキング君とクロエに剣をむける。
「さっさと去れ!!!!!」
私の怒鳴り声が暗い廊下に響く。
『……キング、行きましょう…』
「!でも……!『キング…』……わかった」
そう、それでいいんだ廊下を曲がり、彼女たちが見えなくなると、私は涙を流した。
「クロエ…最後までダメな父親ですまなかった……」
私の声は、他の兵士たちの叫び声によってかき消された。