人形少女は笑わない
□#01
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篠原が廊下を歩いていると、向かいから足音が響いた。
そして篠原の正面で止まると淡々と話し出した。
『初めまして。本日付でCCG本部に配属されました。新月ひつぎです』
感情の込められていない瞳は自分よりも背の高い篠原を写した。
「俺は篠原だ。よろしくなひつぎ」
篠原が手を差し出すとひつぎは少しその手を見つめてから握り返した。
「そうだ。1つひつぎに頼みたいことがあるんだ」
『それは命令ですか?』
「あー……」
『命令以外には従えません。ご了承下さい』
ひつぎは無表情で言う。
篠原はそういえばそうだったと呟き、ひつぎに向き直った。
「これは命令だ」
『はい。なんでしょうか』
「お前の先輩だな…に当たる鈴屋什造という捜査官がいるんだがそいつが今交番にいてな
迎えに行きたいんだが、生憎これから会議なんだ
そいつを迎に行って欲しい」
『了解です』
ひつぎはそう言うと踵を返して歩き出した。
「あ……その什造なんだが……」
ひつぎは振り返った。
「少々厄介な奴なんだが……」
『大丈夫です』
それだけ言って歩いていった。
「あいつも中々癖がある……」
篠原はしょうがないといった顔でため息をついた。