過去と今と

□第1話
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市民体育館。


一人の少女が携帯電話の画面を見ていた。

そして、何かを打ち終わるとポケットにしまう。


『……中学生の本気ってどこまでなんスかね』


そう呟くと体育館の中に入って行った。


♦♢


すでに試合は始まっていた。

北川第一中VS雪ヶ丘中

北川第一は優勝候補でもある強豪校、一方雪ヶ丘は無名の中学校だった。

少女は適当に場所を見つけると背伸びをして覗こうとした。

が、届かない。


『…………ひどいスよ……』


身長141cmの壁が邪魔をする。

少女……霜月星那は尚も背伸びを続けていた。


『うぐぐ……あと、もう少しっスぅ…』

「あれ?君小学生?」

『……』


泣きぼくろのある中々顔の整った人が話し掛けてきた。

そのジャージには烏野高校排球部の文字。


『……』

「あれ?」


その人は苦笑いして首を傾げる。


『あの……中学生っス』

「え゛」


その人は凄く驚いた顔をした。


「どーしたんすか……」


丸刈りの人もこちらに来る。


「いや、この子見づらそうにしてたから…」

「あー、確かに…何気に小学生じゃこの高さは辛いですよね」

「えーっと……」

「?」


泣きぼくろの人が苦笑いする。


『……小学生じゃなくて……中学生≠チス!』


拳を作って言うと丸刈りの人もとても驚いた顔をした。


「と、とりあえずこっちにおいでよ」


泣きボクロの人が手招きをしたので素直にそちらに行くと持ち上げられた。


『!?』

「こうすれば見えるだろ?」


笑顔で言う。


『……子供扱いしないで下さい』


星那はそう言うと試合を見始めた。
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