過去と今と

□第2話
2ページ/3ページ




「いや〜!まさかの北川第一のセッターがウチにねぇ〜!」


一人の声が聞こえる。


「でもぜってーナマイキっスよそいつ!」

「またお前…誰彼構わず威嚇すんのやめろよ?」

「そっ、そんな事しませんよ俺!」


3人の先輩が中に入ってきた。


「ちわス!」

「おース」

『「!」』


背中には烏野排球部の文字。


「影山だな?」

「オス」

「よく来たなあ!」


澤村大地。


「おお…去年より育ってる…」


菅原孝支。


「最初が肝心っスよスガさん!
1年坊に3年生の威厳てやつをガッ!≠チて行ったって下さい!!」


田中龍之介


『……やっぱりいたっス……!』

「やっぱり?」


星那の言葉に日向は問いかけるが、星那は笑ってから言った。


『日向君、挨拶しなくていいんスか?』

「あっ!そうだ!!行ってくる!」


日向は緊張した様子で駆けて行った。


「ちわス!ち、ちわ、ち」

「身長いくつだ?」

「180です」

「おー」

「あっあのっ!!ちわす!!!」

「あ゙?」

「?」

「えっ!?」

「!あーっ」

「!?」


皆が日向に気づいた。


「―じゃあこのもう一枚の入部届けの「日向」って…
お前か……!!」

「えっ!?あの」

「…いやあ…ちょっとビックリしたな…そうか
お前らどっちも烏野か……!」

『私もいるっスよ〜!』


星那もそこへ駆けてきた。


「「「…………あーーっ!!」」」


3人で声を揃えて驚いている。


『(仲いいっスね……)』

「何!?知り合いなの!?」


日向も驚いている。


「ってことはマネージャー?」

『そうっス!これからよろしくお願いします!』


星那はガバッ!!っと頭を下げた。


「あっ!そう言えば名前……」


日向が思い出した様に言う。


『ああ、自己紹介してなかったっスね…
私は霜月星那っス!
運動は得意で一般女子よりも上回ってるっス!』


星那は敬礼しながら言う。


「うーん…星那かぁ…じゃあセイだね!」


日向は笑顔で頷きながら言った。


『おお!いいっスね!一気に仲が縮まった感じがするっス!』


「……あ、そう言えばなんで俺の事…」

「俺達去年のお前らの試合見てたんだよ
そこで星那にも会って……」

「お前チビでヘタクソだけどナイスガッツだったぞ!」

「!あっ、あざース!!」

「お前のバネも凄かったよなあ!」

「それにしてもあんま育ってねぇなぁ!」

「あっ……ぐっ…確かにあんまり変わってませんけどっ…
でも、

小さくてもおれはとべます!
烏野のエースになってみせます!!」

「!……」


その瞬間、影山は日向を睨んだ。


「おいオーイ入って早々エース宣言か!
良い度胸だなああ」

「うっ」

「いーじゃん、志は高い方が。なぁ?」

「あっ……がっ、がんばりま「お前、エースになる≠ネんて言うからにはちゃんと上手くなったんだろうな?」…」

「ちんたらしてたら、また3年間棒に振るぞ」
「―――!」

「…なんだと…」

「おお…どうしてそういう事言うんだ影山…」

「友達居なそうだな〜影山」

「え、もうけんか?はやくない?」

『いやまあ、馬が合わないってことっスよ』

「なんかちょっと違うような?」


日向は悔しそうに下を向く。


「でも…今までのぜんぶ…全部無駄だったみたいに言うな!!」


大地はため息をついた。


「…お前らさー。もう敵同士じゃないってわかってる?
仲間だって自覚しなさいね
バレーボールは繋いでナンボ、大事なのは連係なんだから―――」

『…………(連係……)』

「?」


少し表情が暗くなった星那に菅原が気づいた。


「勝負しろよ、おれと……!」

「ぅオイ!大地さんの話の途中だろうが!!」

「?何の勝負だ」

「バレーの!決まってんダロ!」

「…1対1でどうやって勝敗はするんだ」

「えっ!?パッ…パスとか!?」

「パスに勝ち負けがあんのか」

「〜〜〜〜〜っ」

「聞けやゴルァ!!」

「―――騒がしいなバレー部
まさか喧嘩じゃないだろうね?」


そこに一人の教師が入ってきた。


「ゲッ教頭!」
「(先生っ)」
「せんせいっ」

「喧嘩?まさか!切磋琢磨ってやつですよっ
なっ?」


その間にも田中が日向と影山に静かにしてろと言ったが聞かずに対決が始まった。

しかし、日向は取ることが出来なかった。


「―――それのどこが去年と違うんだ」

「!……―――もう一本。」

「おい!」

「主将の指示を聞かないなんて問題だねぇ」


今度はきちんと捉える。

しかし、ボールは跳ね返って日向の顔に当たった。


『ヤバっ!!!!』


星那はいち早く反応したがあと一歩間に合わなかった。

そのままボールが教頭の頭に当たった。


「!ヤベッスンマセんっ!?」


ふわあっ……と飛んだそれはカツラだった。


「「「「「『!!!!!!』」」」」」


ふさっとそれは大地の頭の上に舞い降りた。


「!!!」

「だっ…大地……!!」


掠れた声で菅原が言う。


「…………」

「……アレ…ヅラだったのか…!」

「気付くの遅ぇよ、皆入学式で気付いてたぞ」

『だって明らかに残りの髪の毛と合ってないっスよねアレ』

「ブォッフ!お前らっ!プクック黙れブフーッ」
「田中も黙れ!!」


大地は何も言わずにスッとカツラをとった。


「……澤村君…ちょっといいかな…」


大地は教頭の後をついて歩いて行った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ