過去と今と
□第5話
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「最近どう?」
『ん〜』
仁花が笑顔で問いかけてくるも、眠くてうまく返せない。
しかし、朝の寒さによって少しずつ覚めてくる。
『二人とも、少しずつだけど繋げるって事をわかってきたと思うっス……』
「そっか!試合もうちょっとだもんね!」
『うん……』
「?何か、気掛かりな事でもあるの?」
仁花は心配そうな顔で星那を見る。
『いや。ただ、私が嫉妬してるだけなんだよね』
「せいちゃん……」
珍しい星那の苦笑いに、仁花は悲しそうな顔をする。
全部知ってるから。
『んじゃあ!私は体力付けるためにここから走って行くっス!』
「えっ!?あっ……」
仁花が言葉を発する前に星那は猛スピードで走って行ってしまった。
「………せいちゃん」
悲しそうな声が静かな通りに消えた。