Stage @
□プロローグ
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留衣『どうだったぁ〜?』
歌い終えた留衣は先生に採点をしてもらう子供のように、遠藤の元へと駆け寄った。
遠藤「おお。満点だ!ご褒美に来週、同伴でもするか?」
(これで、本当に良かったのか・・・・・・)
遠藤は、心の中でそう呟くと深く溜息をつき留衣を切ない表情で見つめていた。
複雑な心境の遠藤に対し、一方の留衣はと言うと 遠藤の表情には全く気付くわけもなく、同伴の約束に『やったぁぁぁ!』なんてはしゃいでいる。
どっからどう見ても25歳には見えない。
歌の採点が遠藤に満点をもらえ、同伴の約束までしてもらった有頂天の留衣は・・・・
様子が違う遠藤に・・・・
いつもなら気付くはずの違和感に・・・・
この時ばかりは気づけなかったんだと思う・・・・
留衣『じゃ、来週ぅ〜ぅ〜ぅー!! 』
遠藤「あぁ……またな、留衣」
仕事が終わり、着替えも済ませると桜が心配そうに留衣に近寄って来た。
桜「ねぇ!留衣?遠藤さんなんかあったの?」
留衣は、考えたような顔を浮かべ眉を顰める。
だが肝心な留衣は思い当たる節はなかった。
留衣『えっ?何で?何にもなかったよ? 来週 同伴するって約束した位かな?』
(あたしには、なんか思い詰めた感じがしたんだけどなぁ・・・・?)
桜には何か思い当たる事があったようだが、そんな空気を留衣が 意図も簡単にバッサリと切る。
留衣『それよりさぁ〜//// うふっ・・・・///』
桜は嫌な予感がして留衣を凝視したのだが……
留衣『総司君がさぁ?』
(やっぱり・・・・・・。)
桜の嫌な予感は見事に的中した。
留衣『あたしの帰りを〜待ってるから帰るね〜♡(特大ハート)』
語尾に特大のハートが付く留衣。
桜「まぁ、何もなければいいんだ!そうだね・・・・留衣の愛しの総司君が待ってるね・・・・//// 」
桜は、一瞬 真剣な顔をすると《総司君かぁ……》と、心の中でそう呟いた。
留衣『桜っ!また明日!お疲れちゃ───ん!』
そんな桜を他所に留衣は、嵐のように自宅へと帰って行った。
桜「あ、うん!留衣お疲れ様ねっ!!・・・・・・・て、居ない!早っ!! 」
桜は、慌てて走り帰る留衣の背中を見守っていた。
そして、桜は 突然「うっ・・・・」と、頭を抑える。
顰めっ面を浮かべた桜だったのだが、昨日 留衣に浴びる程 飲まされた事を思い出せば、薄っすらと顔に青筋を浮かべ 自分も帰り支度を済ませるのだった。