Stage @
□プロローグ
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遠藤「そうだ!今日も、一曲歌ってくれるかい?」
留衣は歌う事が大好きで、美声の持ち主だった。当の本人はいつもふざけているのだが、留衣の歌声は魂に響くのである。
遠藤は、そんな留衣の歌声を聞くのも楽しみの一つだった。
留衣『あたし、新しいのは歌えないよ?地味に年齢いってますからぁ〜!!』
なんて、某侍のように年寄りじみた事を言う彼女は今年で25歳だ。
遠藤「まだ25歳じゃないか!俺と比べたらまだ若い若い!留衣は、まだいい男性は居ないのか?」
留衣『いな〜い!だって《この人だ!》て、人に巡り会えないんだもん。でも憧れの人は居るよ・・・・・・////』
人なのか、彼と言うべきか・・・・。
プイと膨れながらも 彼を脳内に思い浮かべると、たちまち女の子の表情を見せる留衣。
恋する女の子と言うよりも、頬の筋肉が正常に機能していない。彼を心に思い浮かべるだけで ニヤニヤがおさまらないのだ。
(総司君に癒してもらうんだぁ!!キャ〜♪♪)
そう、留衣は何を隠そう薄桜鬼にハマり中であった。
友達の桜に「女性ホルモンがなくなるのが心配だから(;o;)」と、薄桜鬼をプレゼントしてもらってからと言うものの・・・
その日から 総司に夢中になり恋をしてしまった。
そんな愛しのキミと出会う事が出来た今、留衣は桜には感謝でいっぱいだった。
桜とは 友達でもあり 一緒の店でも働いている同僚でもある。
留衣の変形する顔の歪みを確認したのか 遠くから桜が歩いてきた。
桜「あ、遠藤さん。今日も来てたんですね!相変わらず近藤さんで・・・・//// 」
遠藤「近藤? 」
桜の言葉を聞き 一瞬 押し黙った遠藤は首を傾げていた。
留衣『桜!!し──っ!』
近藤の名前が出れば、慌てて桜に目配せする留衣。
だが、遠藤は さほど気にはしてないようで桜へと視線を向けた。
遠藤「桜は相変わらず綺麗だな?」
桜「あら?おだてても何も出ませんよ?」
少しの会話を交わせば桜は目を細めて笑みを浮かべる。
桜が言っていた《相変わらずの近藤さん》それには理由があった。
遠藤は、薄桜鬼の近藤局長に似ていた。
似ているなんて言葉では言い表せないくらいに瓜二つなのだ。
そして・・・・名前は《遠藤》である。
遠いに近い……
細かい話は抜きにして、遠藤は 目を細めると続きを話し出す。
遠藤「二人は本当にいつも仲が良いな」
留衣「はいっ!桜とあたしは癒しも悲しみも分け合う仲だも〜ん!ね?」
そんな言葉を聞けば 遠藤は二人を見ながら笑みが洩れ、微笑む遠藤を見れば、留衣は何かを思い出したように慌てて口を開く。
留衣『あッ!遠藤さんと過ごす時間も大好きだよ?』
あからさまに付け加えた会話をする留衣だったが、遠藤は柔らかく微笑み、手元のお酒に手をつけた。