Stage @
□ハジマルョ・・・・
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と、その時・・・・
《ガシャ────ン》
激しい物音が屋敷の外から聞こえてきた。
土「誰だっ!!!!」
殺気を帯びて土方が叫んだ。
(ひぃぃぃ!(;o;)怖ッッッ!)
物音より何より、隣の土方の殺気に 一番びびっている留衣
土「音は裏からか?お前はここに・・・『怖ぃぃ!一緒に行く。守ってくれますよね?』・・・・・・・・」
土「あぁ。ついて来い」
…..Σヾ(;☆ω☆)ノギャアアーー!!
サラッと守る宣言。
着物を器用に直す姿も髪を結う優しい手付きも・・・・鬼副長とのギャップも、走馬灯のように頭に駆け巡ると留衣の心臓は、破裂寸前だ・・・・。
留衣『トッシー・・・・やっぱり素敵すぎるわぁ・・・・//// 』
土「 トッシーはやめろ!!」
(しまった!・・・・声にでた。)
思わず声に出る留衣。
土方の袖を掴んで、恐る恐る屋敷の裏側に一緒に移動するが何もなかったようにしんと静まり返っていた。
道行く人に「怪しい奴は通ったか?」と聞いてみるが・・・・「通った人はいないですよ。」と、言われる始末。
この屋敷に何が起こってるんだろうか・・・・
時空を超えたり、着物が消えたり なんだか不思議な屋敷だった。
留衣は、急に心細くなって下を向いていた。
誰も知り合いの居ないこの時代。
自分が何なのかも、何をするのかも分からない。
唯一の頼みの綱の屋敷も謎だらけで何一つ分からなかった。
(ったく・・・・騒いだり、沈んだり・・・・忙しい奴だな?)
土方は、そんな風に考えていると留衣の頭に手を添える。
土「お前は一人じゃねえだろ?」
留衣『・・・え』
咄嗟に言われた言葉にびっくりして土方へと視線を移せばすごく柔らかな笑みを浮かべ、留衣を安心させてくれたような気がした。
(慰めてくれてるのかな?)
留衣『なんか・・・・』
土「 なんだよ!!」
留衣『なんだか・・・・』
何を言われるのか土方はアタフタしていると・・・・
留衣『なんでもないです・・・・ッ!!』
言葉の続きを濁して留衣は笑った。
土「・・・・・・・・あ?」
土方は、拍子抜けしたらしくまた眉間に皺を寄せる。
土「お前、吊るされたいのか?」
留衣『つ、吊るす!? ご・・・ご・・・・ごめんなさい・・・・』
なんだかちょっぴり気恥ずかしくて 素直になれなかった留衣。
土方の優しさに触れた気がしたそんな出来事だった。
そんな留衣の雰囲気をちゃんと察してあげる辺りが泣く子も黙る副長と言った所なのだろう。
土「まぁ、いい!屋敷の場所はわかったし。帰るぞ」
留衣『え?あたしここで・・・・』
(屯所預かりは、昨日だけだったはずじゃ?)
そんな疑問を消すかのように・・・・
土方は目を細め淡い表情を浮かべた。
土「 ここに一人で居たら何があるかわかんねえだろうが!飯くらいは手伝ったり出来るんだろ?」
留衣『え?無理ですよ!この時代のもの使えないですもんっ。』
そう、あっさり返す留衣。
土「 それじゃ、仕事もろくに見つけられねえじゃねえかよ」
ため息交じりに伝えると留衣は、肩を落としシュンとしていた。
留衣『はい。そのようで・・・・』
少しは、少しだけは 申し訳なさそう呟く留衣。
(新選組は、とんだ落し物を拾っちまったようだな・・・・)
呆れた様子で留衣に微笑むと また表情を戻して口を開いた。
土「帰るぞ!死にたくなかったら着いてくるんだな」
少し意地悪な言い方をすれば留衣の返事などは聞かずにさっさと歩き出す土方。
留衣は、自分の持った荷物をギュッと握り締めると慌てて土方の後をついて行く。
屋敷の屋根からその姿を見る影があるとも知らずに・・・・。
《・・・ハジマルョ・・・・》
そう、呟くと影はフッと消えていった。