吸血夢
□変わり者
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「名無しさんちゃんってさ、変わってるよね」
よく晴れたある日曜日。
屋敷の自室で読書をしていると、自分しかいない筈の部屋から男の声がした。
顔をあげた先にいたのは、逆巻ライト。
んふふ、と独特の笑いを零した彼は、何の前触れも無く、冒頭の台詞を呟いた。
「勝手に人の部屋に入って来たと思ったら何なの貴方」
読んでいる本から顔を上げないままの名無しさん。
ライトは気にしていないのか、彼女の隣に腰かけた。
「……………血なら後にしてね。今いいところだから」
「今がいいって言ったら?」
「嫌」
先程からライトを見ずに会話をする##NAME1 ##に、ライトはうっすらと笑みを浮かべた。
「そっかー……。それは残念」
そう言いつつも彼女の髪を掻き分け、白い首筋をじっと見つめる。
「ちょっと。待ってって………ぁ……………!」
慌てる名無しさんなどお構いなしに首筋に牙をたてた。
「んっ……ライトっ………!」
「んふ、感じてるのビッチちゃん?可愛いねー」
首筋から顔を上げたライトの口元についた己の血を見て内心呆れながら本で彼の頭を小突いた。
「感じてる、わけないでしょ。いきなり血を吸うのは禁止したでしょ」
まったく、と悪態をつきながら読書を再開する。
ライトはそんな名無しさんをじーっと見つめ、口を開いた。
「………やっぱり君は変わってるね」