*及岩物語
□一番知りたい未来
1ページ/2ページ
岩ちゃんはモテる。
動物にモテる。
お母ちゃん世代にモテる。
本人は気付いてないけど女の子にもモテる。
当然、子供にもモテる。
動物やお母ちゃん世代や女の子にモテるのはギリギリ許してもいい。
俺が邪魔すればいい話だし。
でも、子供に懐かれてる岩ちゃんを見ると上手く笑えない。
少し席を外しただけなのに、公園にいた子供たちと
楽しそうにサッカーをしている岩ちゃんが知らない人みたいに見える。
「何だよ、もう終わったのか」
ベンチに戻っていた俺に気付いて
「電話早かったな」と隣りに座った。
「うん、お母ちゃんが『帰り遅くなるかもしれない』って」
「…それで?」
「まぁ、夕飯はあるらしいから
「そうじゃねーよ」
え?何?」
「何かあったか?」
「…何もないよ」
ダメだ。
いつもは鈍感のくせに、こういう時は本当に鋭い。
しかも岩ちゃんは絶対に目をそらさずに聞いてくる。
岩ちゃんの目を見ながら嘘をつくテクニックなんて今の俺にはない…
「及川」