*国金物語
□嫉妬には特別扱いで返して下さい
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「松川さん」
「ん?」
国見は「聞かなくていい」って言ってたけど、
「ちょっと聞きたい事があるんですけど」
やっぱり気になる。
「何?昨日のブロックのタイミングわかりづらかった?」
「いえ、すげーわかりやすかったです!
あの、バレーの事じゃなくて」
「勉強?」
「いえ、勉強でもないんですけど」
「何だよ、どうした?」
部活が終わって片付けが始まって、
いつもは国見と一緒にするけど
今日は最後の練習メニューがポジション別だったから
そのまま松川さんと片付けを始める。
今はちょうど周りに誰もいないからこっそり聞いてみよう。
「あの、松川さんって…
よく花巻さんに「おいで」って言ってますよね」
「あー、言われてみればけっこう言ってるかもなー」
「どんな感じで言ってるんですか?」
「……ん?どんな感じ?」
「あの、言い方とかタイミングとか…」
「タイミング、ってとりあえず花が隣にいない時は常に言ってるかな」
「隣にいない時…」
松川さんにつられて真ん中のコートを見ると、
WSのメンバーが一列に並んでラスト1本を打っていた。
「何?金田一も言いたいの?」
「いや、言いたいというか…
昨日、国見に『松川さんみたいに「おいで」って言ってみろ』って言われて」
「……お前らの会話の意味がわからないんだけど」
「松川さんみたいになりたい話をしてたらそういう流れになりました」
「……あー………なるほどね」
「いつも一緒にいるから言う必要ないんですけど、
国見が言って欲しいみたいだったから…
でも、理由もないのに「おいで」って呼ぶのは何か恥ずかしいですね」
「んー、じゃあさ」
松川さんが花巻さんに手を振りながら
教えてくれた。
「理由があればいいんじゃない?」